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【賃貸物件の更新料は誰に入るの?】更新料最前線

不動産経営において、賃貸借契約はなくてはならないものです。
賃貸人は部屋を貸し、賃借人は部屋を借ります、という内容の賃貸借契約を結ぶ必要があります。
たいていの場合、一般の居住用賃貸では、賃貸借契約は2年間です。そして、所定の2年間が経過すると契約を更新する手続きが必要となり、このときに賃貸人が賃借人から更新料を受け取ることが一般的です。
しかしながら、この更新料の支払いについて、近年は賃借人と賃貸人との間でトラブルが発生しています。
賃貸借契約書の更新手続きは、不動産仲介業者や貸し主が行うものですが、この更新にあたり、賃貸人が更新料を請求しても、賃借人が更新料の支払いを拒否したり、更新料を支払わなくてもそのまま入居し続けるトラブルなどが起きています。
不動産大家さんは、どのような場合に更新料を受け取ることができて、どのような場合に受け取ることができないのか、法律や判例の解釈を含めて知っておくことが大切です。
そこで、この更新料の支払いにおけるトラブルの原因やその解決事例を確認していきます。

更新料における注意点

賃貸借契約の更新においては、賃貸借契約書に記載されている内容により位置づけが変わるので、更新料を受け取ることができる場合と受け取ることができない場合があり、特に注意が必要です。

1つ目のケースは、賃貸借契約書に更新料の記載がない場合や、賃借人が更新料について説明を受けていない場合です。この場合は、賃貸人は更新料の支払いを請求することができないため、賃借人は更新料を支払うことを拒否することができます。
不動産仲介業者が賃貸借契約書を作成する場合に、更新料の記載を明記しないということはほぼありません。しかしながら、不動産仲介業者を介さずに賃貸人が直接賃借人と賃貸借契約を締結する場合には、このようなことにならないように注意が必要です。

2つ目のケースは、賃貸借契約書に、更新は賃貸人と賃借人が合意をすることにより行われるとの記載がある場合です。この場合は、更新の合意をしたときに更新料を支払うことが明記されていれば、更新料の支払いもまた当事者の契約の更新の合意によって決まることになります。このことを合意更新と呼びます。
この場合の注意点として、借地借家法の第30条の記載を知っておくことが有効です。

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(強行規定)
第三十条この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
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との条文より、更新料の金額自体が著しく高額である場合は、賃借人は更新料を支払うことを拒否することができますが、そうでない場合は、更新料を支払うことになります。
ここでもう1つ、賃貸借契約の更新について、借地借家法の第26条を確認しておきます。
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(建物賃貸借契約の更新等)
第二十六条建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
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借地借家法の第26条では、「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」という文言は自動的に賃貸借契約が更新されることと解釈されています。このことを、法定更新と呼びます。
また、最高裁判所の判例(昭和51年10月1日)では、更新料の支払いについて、
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最高裁判所の判例(昭和51年10月1日)
宅地賃貸借契約の法定更新に際し、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習又は事実たる慣習は存在しない。
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としています。ただし、この判例は、借地に関する事案です。
これに対して、更新料が認められた判例もあります。
東京地方裁判所(昭和61年10月15日)の判例では、法定更新に際し、更新料を支払う必要があるとされています。
また、東京地方裁判所(平成2年7月30日)の判例では、法定更新に際し、更新料を支払う必要はないとされている場合もあります。

更新料は大家or管理会社どっちに入るの?

一般的に、更新料については誰が受け取るものかと言いますと、更新料自体は、賃貸人が受け取ります。これは、賃貸人と賃借人がお互いの合意の上での更新であっても、法定更新であっても同様です。そのため、更新料の領収書には、賃借人名と賃貸人名が記載されることが一般的です。
そして、契約の更新の手続きにおける事務手数料として、賃貸人が不動産仲介業者や管理業者にこの事務手数料を支払います。

大家さんがすべきこと

賃貸借契約には期間の取り決めがあるため、その期間を経過するときには契約の更新が必要となります。また、契約の更新手続きが必要となります。不動産仲介業者や管理業者はこの手続きにおいても経費が掛かるものです。そのため、賃貸借契約の更新を行う場合は、賃貸人がそれらの業者に更新のための事務手数料を支払うことになります。
そのため、大家さんにとって更新料は必要なものであるため、注意すべきことがあります。
それは、現状でも、今後においても、賃貸借契約書に更新料の明記がない場合は、賃借人から更新料を受け取ることができないということです。
賃貸借契約書において、更新料についての明記をして、契約時に仲介業者によって、しっかりと説明をしてもらうことが必要です。
また、先の説明のように更新には、合意更新と法定更新の2種類がありますので、更新料について賃貸借契約書に明記をする場合は、「賃貸借契約の更新において、合意更新と法定更新のいずれの場合でも、更新をする場合には、賃借人が賃貸人に家賃1か月分の更新料を支払う」などとの記載をしておくことが有効です。

まとめ

賃貸借契約には、契約期間が定められており、契約期間が満了した時には更新の手続きが必要です。
この更新時には、仲介業者に支払う契約の更新における事務手数料が必要です。
更新料を賃借人より賃貸人が受け取り、賃貸人が更新における事務手数料を仲介業者に支払うという事例があります。
問題なのは、賃借人が支払う更新料について、近年はトラブルが発生していることです。
賃貸人が更新料を受け取れない場合は、賃貸借契約書に更新料についての記載がない場合ですので、賃貸借契約の前に、更新料の記載があることを確認する必要があります。
また、賃貸借契約書に更新料についての明記がある場合でも注意が必要です。
その更新料のトラブルの要因として、賃貸借契約の更新をするという行為について、2種類のケースがあることです。これは、賃貸人と賃借人の合意更新の場合と、借地借家法に明記されている法定更新の2種類です。
特に法定更新の場合でも、更新料の支払いが発生するとの明確な記載がない場合があり、合意更新でも法定更新でも更新料の支払いが発生することの明記が必要です。
いずれにしても、もう一度、現行の法令を確認し、どのような対応の必要があるかをあらためて認識しておきましょう。そして、今後の法改正や今後も行われる裁判事例として判例を注視すること、法令やトラブルについて弁護士などに相談できる環境を構築しておくこと、不動産賃貸経営に関する情報を継続して収集することが、賃貸経営を行う上で、とても有効なことです。

執筆者
大長 伸吉(不動産投資アドバイザー)

ランガルハウス株式会社代表、年金大家の会主宰
■保有資格
宅地建物取引士、AFP、貸金業務取扱主任者

世田谷区・目黒区を中心に東京の土地購入から銀行融資、設計施工、満室管理、税務相続まで個別に寄り添っている。自身も4棟23室の物件を満室運営中。10年間で3,000回以上の個別相談と250回を超えるセミナーを開催。