賃貸経営・アパート経営・マンション経営
資金運用の事なら「大家ナビ」

  1. 空室対策
  2. 【民泊にチャレンジ!?】最新の民泊事情とは

【民泊にチャレンジ!?】最新の民泊事情とは

私は京都市内を中心に活動している行政書士です。このお仕事を始めてもうそれなりになりますが、ここ2、3年急激に案件の割合を占めるようになったと感じるのが民泊やゲストハウスに関する案件です。(なお、一般的に民泊とゲストハウスと呼ばれているものは法律上「簡易宿所」とされており、以降は両者をまとめて「民泊」とします)
 そのきっかけとなったのはやはりAirbnbやBooking.com等の宿泊サイトの台頭があるでしょう。どのような事業を始めるにしてもネックとなるのが広告・集客です。しかし、民泊に関しては宿泊サイトに依頼すればそのサイトにページを載せておくだけで予約が入るようになります。後ほどご説明いたしますが、それ以外にも運営の負担が大きく軽減されることとなったことが、昨今の宿泊業ブームに繋がったのではないかと思います。
では、民泊を取り巻く状況についてみていきましょう。

民泊するには手続が必要?

▼そもそも民泊とは?

 民泊とは、戸建ての住宅やマンションの1室を不特定多数の宿泊客に宿泊料金をいただいて提供するサービスを指します。この民泊と呼ばれるものは法律上何に該当するのでしょうか?

 冒頭でも少し触れましたが、一般的には「ホテル」や「旅館」と同様に「旅館業法」に定められている「簡易宿所」というカテゴリーに該当します。(場合によってはウィークリーマンション等も「簡易宿所」に該当します)
一方で、大阪市全域といった一部の地域では、「国家戦略特別区域法」という法律により、賃貸借契約の一種として認められている場合もあります。これがいわゆる「特区民泊」(正式名称:国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)です。なお、「特区民泊」が認められている地域では「簡易宿所」の活用と選択することとなります。そして、双方の要件は異なりますが、それぞれ各地方自治体の許可や認定を取得しなければなりません。これらの許可等を取得せずに宿泊サービス業を行うと「旅館業法」違反となり、処罰の対象となります。

▼許可等を取得するためには?

 これらの許可等の取得には以下のハードルがあります。まず、都市計画法上の用途地域による制限があり、工業地域や第一種低層住居“専用”地域等の「専用」地域に該当する場合、民泊は営めません。(建築基準法48条)また、両者ともに、一般住宅に設置されているものよりも性能の高い消防設備を設置した上で、各法令の具体的な要件を充たす必要があります。例えば、「簡易宿所」の場合は間取によって1度に複数組を宿泊させることが可能ですが、定員数に応じてトイレや洗面、お風呂・シャワーを複数設置する必要がある等建物の構造的なハードルがあります。「特区民泊」の場合はトイレ等の数について具体的な定めがないので最低限各1つずつ設置されていれば良いのですが、「簡易宿所」と違って定員については1度に1組までという制限など運営体制についてのハードルがあります。また地域や事案によって異なりますが、「簡易宿所」の許可取得には数ヶ月ほど必要である一方、「特区民泊」の場合はその半月ほどで完了するケースもあります。

▼許可等を得てからの物件の活用法

 これらのハードルを越えて許可等を取得することにより、晴れて民泊を営むことができます。ここでポイントなのは、あくまで営むことが「できる」のであって、必ず民泊を営まなければならないわけではない、ということです。各自治体によって扱いは異なりますが、一定期間以上民泊営業をしない場合には、一般的には旅館業停止届を提出し、その間を賃貸借とし、賃借人の交代等により空白期間が生じた場合に民泊として使用する場合は再開届を提出すれば営業を行っても問題ありません。ちなみに、これらは届出であり、用紙1枚程度のものを窓口に提出すれば良いので、さほど手間もかかりません。
 また、民泊事業を賃貸借契約の一種であるとする「特区民泊」では当然通常の賃貸借契約を締結することもできます。つまり、両者とも許可等を取得したのちに通常の賃貸借契約を締結し、賃借人が交代するタイミングで空白期間が生じた際に民泊として使用することができますので、より有効に建物を活用することができます。
 そのような許可や認定等といった手続が必要となる民泊ですが、実際に事業として成り立つのでしょうか?次はそれらについてみていきましょう。

民泊って儲かるの?

一般的には設備やスタッフ等の経費が「簡易宿所」よりかかる「ホテル」の場合、通常は損益分岐点が50%程度なので、客室稼働率が60%以上であれば利益が見込めるとされています。そのような状況の中で、民泊はどれくらいの割合で利用されているのでしょう?

▼民泊の客室稼働率はどれくらい?
観光庁が発表した全国のデータ(宿泊旅行統計調査:平成29年7月第2次調)では、本年7月のホテル等を合わせた宿泊業全体の客室稼働率は62.5%であり、その中の民泊(簡易宿所)の稼働率は33%となっています。「……あれ? 簡易宿所は稼働率が低いじゃないか」とお思いになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに全国でみますと稼働率が低いのが現実です。テレビの情報番組で地方のいわゆる民宿の経営立て直しのためにはどうすれば良いか?といった取組が紹介されるなど、観光業があまり盛んでない地域では民泊に限らず宿泊業全体の稼働率が低水準となっています。しかし、同調査では例えば東京や大阪では宿泊業全体の稼働率が80%を超え、京都市に限定した調査では平成28年度の稼働率は89.1%と9割に及んでいます(「平成28年 京都観光総合調査」について:平成29年6月21日)。このように、世界的にビジネスや観光客に注目されている地域では高水準となっているのです。

 皆さんにとってはホテルや旅館ではなく民泊を使用するというのはあまりピンとこないかもしれません。しかし、外国の方にとってはそうではありません。我々が思っている以上に民泊やゲストハウスというのは一般的なものなのです。ホテル等の「おもてなし」を受けることが好きな人もいれば、その施設であたかも生活しているような感覚で滞在したいと考える人も相当な割合いるようです。例えば京都市産業観光局が2017年6月22日に発表した「平成28年 京都観光総合調査」によると、京都市で宿泊した外国人観光客のうち、民泊(無許可営業施設を含む)に宿泊した割合が23.8%となっているデータもあります(平成28年 京都観光総合調査:平成29年6月22日)。そのことからも、外国人旅行客にとって民泊は一般的なものであることが伺えます。

▼住宅としての価値≠民泊としての価値

 また、スーパー等が近くにない等、住宅としては少し不便な物件であっても、民泊用の施設としては価値が高いということもあります。観光名所のすぐそばに位置していることだけが必ずしも決め手になるわけではありません。外国人観光客はフットワークが軽く、京都市内であれば自転車で各所を回る方も多いですし、そうでなくとも、その施設にたどり着きやすければ良いと考えてらっしゃる方が多いのです。
 次にその収益見込についてみていきます。例えば、賃料が月額10万円のお部屋の場合、1泊1組(4人程度)1万8千円の宿泊料に設定すると、1ヶ月満室になった場合で月に54万円の売上、それが京都市内であれば、客室稼働率が9割なので、48万6千円になります。そこから管理会社への委託料(全部委託した場合の相場が40%〜50%)を差し引いたとしても、単純に賃貸にした場合の月額賃料10万円よりも利益が多くなります。このように、賃貸借にしてもあまり賃料が望めないというような物件であっても、民泊として使用すれば収益が見込めるというような可能性が高いので、一度ご検討していただく価値は充分にあると思います。

実際の運営はどうすれば良いの?

民泊を営む場合、広告・集客ページの作成管理、宿泊予約の受付(予約前の問い合わせに対する対応)、宿泊客への対応、お部屋の清掃、近隣の方から連絡があった際の応対等、これらの業務をどこまで行う必要があるのでしょうか?どこかに業務委託することはできないのでしょうか?


▼宿泊サイトへの登録

 まず予約関係では、冒頭で触れましたが、Airbnb等の宿泊サイトがあり、大半の民泊施設がそれらを利用しています。これらのサイトの利点としては、なんといっても広告・集客能力の高さにあります。例えば、専門のスタッフが施設をどのように見せるのが一番良いかを考えて、掲載する写真を撮ってくれるサイトもあるので、広告・集客については任せきりで良いのです。また、運営するにあたって一番心配なのは宿泊料金を取り損ねることですが、これらのサイトではクレジットカードを使った決済方法を採っているので、その心配はありません。
 しかし、広告・集客の手段として1つのサイトのみでは満足のいく稼働率が得られないということもあるでしょう。その場合、複数の宿泊サイトに登録すれば稼働率をより高めることが可能になります。とはいえ、ダブルブッキングが発生してしまうおそれがあり、施設の評価が落ちてしまいます。そのような場合に備えて、サイト間の予約の調整も含めて管理してくれる業者が近年多くなっていますので、そのような業者も検討してみるのがいいでしょう。
▼管理業務の委託

 次に実際の運営・管理業務についてですが、これらの代行業者も随分と多くなっています。しかし、その業務範囲や内容はピンキリで、チェックイン時に最寄駅から施設までの案内や、付近の観光名所の案内など宿泊客の旅行プランの作成についてアドバイスをする業者もいれば、単にカギの受け渡し等の業務のみを担当する業者もいます。そして、宿泊客からの需要も様々なので一概に業務範囲だけでその良し悪しの判断はできません。また、先ほどの予約の調整まで行ってくれる業者もあれば、そこまでは行ってくれない業者もいますので、委託先をお探しになる際にはそのあたりも十分ご確認いただく必要があろうかと思います。私がいつもお勧めするのは小規模な施設であれば、ある程度の期間ご自身で管理をしてみて、どのような管理の内容が良いのかという基準を作ってからお探しになることです。そうすれば必要以上に高額な業者や、サービスが少ないと感じる業者に委託することを避けることができるのではないでしょうか。

急増する無断民泊


予約サイトをみてみると、どうも無許可で登録している施設が随分多く見受けられます。例えば京都市内においてはマンションの1室で許可を取ることは事実上難しいのですが、登録している施設が大変多いのです。

▼違法民泊への罰則規定

先に述べましたように許可を取得しないで民泊を営業することは旅館業法に違反します。場合によっては6月以下の懲役や3万円以下の罰金が課せられることもあります。また、そのような処罰を受けた場合は、その後3年間を経過しないと新規の許可申請をしても許可を取得できず、ほかの施設についての許可が取り消されてしまいます。このように、皆さんが思ってらっしゃる以上に旅館業法違反に対するペナルティは重いものとなっています。

▼違法民泊の摘発

 また、最近は違法民泊の摘発の動きが活発になっています。京都市では、平成28年度より民泊についての相談窓口である「民泊110番」が設置され、住民からの相談や通報に対応しています。加えて、平成29年度より違法施設の調査等を外部委託することにより調査・摘発に力を入れており、実際に摘発されたという例も多く聞きます。大阪市も同様に違法営業の摘発に力を入れていますので、無許可で民泊を営むことはコンプライアンスの観点からはもとより、現実的にも決してお勧めいたしません。

▼2018年からスタートする新制度

 では、様々な要件との関係から許可等を取得することができない場合には、民泊を諦めるよりほかないのでしょうか? 決してそんなことはありません。
2018年6月より住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)が施行予定であり、これによれば用途地域による制限がなく、都道府県知事(政令市においては市長)に届出さえすれば、年間で180日を上限として(日数については各自治体の条例によって短くなる可能性もあります)上記の許可等を取得しなくても民泊を営むことができるとされています。これを活用すれば、そのような許可取得が難しい施設であっても民泊を営むことが可能となります。先ほど収益見込の例で挙げました事例の金額で計算しますと、賃貸借にした場合の家賃収入は年間120万円、民泊にした場合の売上は年間324万円(180日の稼働で計算)となり、管理会社への委託費を差し引いたとしても単純に賃貸借に用いるよりも利益が多い見込みとなります。

まとめ

▼適法な運営を!

 需要が高く収益も見込める民泊は、その営業をするために旅館業の許可や事業者認定を受ける必要があり、旅館業法違反者には罰則があります。そして役所は最近無許可営業の摘発に力を入れていますので、リスクが相当高いといえます。そのため、要件を充たすための費用がかかったとしても、きちんと許可等を取得した上での営業をお勧めします。また、許可等の取得が難しい物件については、来年2018年6月に施行されるいわゆる民泊新法の活用を検討なさるとよいのではないでしょうか。

▼続く民泊ブーム

 現在、世界的にビジネスや観光客に注目されている地域では民泊の稼働率が高く宿泊業全体でみても需要と供給の関係では供給が追いついていない状況です。そして全国的には少なくとも東京オリンピックまでは日本への外国人観客数の増加傾向が続くと思われます。加えて、政策として外国人観光客の増加を図っていますので、客室飽和状態は続くものと思われます。もちろん従前より人気の高い京都市内等の地域についてはオリンピック以降も高水準での客室稼働率を維持していくでしょう。そして、実際の運営については極端にいうと全てを代行業者に任せるのであれば、労力を省くことができるのです。

▼お部屋の活用法として有効性の高い民泊

 許可等の取得のために様々な要件を充たし、そのための費用も発生いたしますが、長い期間で検討しますと民泊は賃貸借に用いるよりも収益が上がる可能性が高いと思われます。それ以外にも、例えば自ら運営することで宿泊客と交流ができることを楽しみにして運営されている方もいらっしゃいます。ホテルと異なり食事はつきませんが、宿泊客が近くのお店で買い物や飲食をすることとなるので、地域の活性化にも繋がります。また、借家人が保護されている日本の法制度では1度賃貸借でお部屋を貸すと、なかなかお部屋を返してもらえなかったり、内装が痛んだりされてしまうことも多々ありますが、民泊ではこまめに利用者が入れ替わるので、お部屋の維持管理が楽になる部分もあります。このように民泊営業には様々なメリットがありますので、民泊営業をお部屋のご活用の選択肢としてご検討されてはいかがでしょうか。

執筆者
田島 充 タジマ ミツル
( 行政書士/ 京都府)
行政書士四条烏丸法務事務所 所長
【略歴】
京都大学大学院法学研究科修了
千葉県 成田市職員
・ 税務、下水道事業、訴訟などを担当。徴税吏員、指定代理人
【手がけた主な訴訟事件】(Westlaw Japan 掲載番号)
・ 東京地裁 平成16年12月17日判決(2004WLJPCA12170008)
・ 東京高裁 平成17年3月29日判決(2005WLJPCA03296006)
マンション管理組合理事長
・ 大規模修繕工事、管理業務の委託、管理規約全面改正、電力会社の変更を手がける
大宮法科大学院大学法務研究科修了
法学修士(公法専攻)、法務博士
一般財団法人 日本ソリスタ協会・全国行政書士業務支援機構 代表理事