賃貸経営・アパート経営・マンション経営
資金運用の事なら「大家ナビ」

  1. 家賃収入
  2. 【いつかはぶつかる壁…】恐怖の更新時値下げ交渉

【いつかはぶつかる壁…】恐怖の更新時値下げ交渉

賃貸住宅の大家さんが、いつかはぶつかる壁が入居者からの家賃値下げ交渉です。住宅は経年劣化していくものですし、更新時のタイミングでは値下げ交渉が入ることが多く、値下げ交渉に応じると収益に大きな影響を与えます。

そのため、いざ家賃交渉をされたときのために、どのような対策をすれば良いかを理解しておきましょう。併せて、交渉されやすいタイミングや実例も紹介していきます。

賃貸更新の際に注意すべきこと

不動産の大家さんが、賃貸更新の際に注意すべきことは、入居者から家賃や更新料の値下げ交渉を受ける可能性がある点を理解しておくことです。更新時には、家賃の1~2か月分の更新料の支払いが生じることもあるので、入居者からしても退去を考える時期になります。

そのため、更新料を高めに設定していたり、長く住んでいる入居者がいたりする場合には、更新のタイミングで交渉されることが多くなります。なぜなら、更新料が高ければ更新料を支払うよりも転居した方が安い場合もありますし、長く住んでいる場合は入居者が交渉の余地ありと判断するからです。

家賃交渉の際の対処法

さて、そんな更新時の家賃交渉の対処法は以下の3点です。
・近隣住宅の賃料などの把握
・共用部の劣化を把握
・最初から断らない

上記3点は、空室リスクを低下させ、家賃を値下げするにしても最低限の値下げで済ますために重要なことです。

(1)近隣住宅の賃料などの把握

まずは、近隣住宅の賃料や初期費用を把握しましょう。その理由は、家賃交渉をされるときには、近隣の住宅を引き合いに出されることが多いからです。たとえば、自分の賃貸管理している部屋が、家賃10万円だったとします。

仮に、近くの賃貸マンションで条件が似ているマンションが家賃9.5万円だとすると、この家賃と比較して家賃の値下げ交渉をされることがあります。しかし、このマンションと自分のマンションと比べて、以下のような違いがあったらどうでしょうか。
・自分のマンションの方が築年数は5年新しい
・自分のマンションは更新料1か月分で比較されたマンションは2か月分
・自分のマンションの方が共用部は充実している

このような違いがあれば、5千円の家賃の差は妥当だと言えます。つまり、家賃交渉されたとき、引き合いに出された物件との違いが分かれば、交渉において優位に立ちやすいということです。

交渉された後は、返答のスピードと返答内容の根拠が重要になるので、引き合いに出されそうな近隣住宅は把握しておきましょう。

(2)共用部の劣化を把握

自分の管理しているマンションの、共用部の劣化具合も把握しておきましょう。具体的にいうと以下のような部分です。
・駐車場や駐輪場の劣化
・外壁や外部廊下の劣化
・エントランスやエレベーターの劣化

なぜ共用部の劣化を把握しておく必要があるかというと、自分ではどうすることもできないので、退去するという選択を選ぶ人もいます。共用部はマンション全体の問題になるので、修繕したくても入居者の意思だけでは何もできません。
共用部の劣化具合を受け入れる代わりに、家賃の交渉をする人もいます。

そのため、共用部が家賃の交渉材料にならないように、共用部の劣化はいち早く把握して、対策できるところは対策しておいた方が良いでしょう。

(3)最初から断らない

家賃交渉された場合には、最初から断るのは避けましょう。なぜなら、入居者が退去を真剣に考えている場合、交渉が出来ないと分かれば、すぐに退去の手続きを取る可能性があるからです。更新時期が近いのであれば、早めに新居を探す必要があるので、尚更退去を早めるでしょう。

また、一度値下げ交渉を断ってから、退去すると分かって慌てて値下げに応じすると、入居者から足元を見られさらなる値引きを要求される可能性があります。そのため、あまりにも受け入れらない値下げ交渉でない限りは、妥協点を探るために少し時間をもらってから返答しましょう。

その際、返答の期限は決めておいた方が良いです。仮に、期限を言わずに10日後に返答した場合「返答を待っている10日間で検討していた賃貸物件が決まってしまった」などのクレームにつながる恐れがあるからです。

大家さんは不需要期に気を付けよう

部屋の更新時だけでなく、不需要期にも家賃交渉に気を付けましょう。不需要期は、入居者から家賃交渉をされやすいので、その時期を把握しておくことで交渉しやすくなります。

(1)需要のバラつき

賃貸は、以下のように時期によって需要のバラつきがあります。

新年度に向けて引っ越しが多くなってくる1月~3月が需要期になり、逆に季節的に引っ越しが少ない6月~8月は不需要期になります。

(2)不需要期に交渉されやすい理由

6月~8月の不需要期に入居者から家賃交渉されやすい理由は、不需要期だと空室がなかなか埋まらないからです。たとえば、家賃12万円の部屋の家賃を5千円下げて欲しいと交渉されたとします。

仮に、この値下げを受け入れ、その入居者がそれ以降2年間住んだら、家賃収入は12万円(5千円×24か月)のダウンになります。しかし、この値下げを受け入れずに退去されて、6月~8月の期間空室になった場合は、36万円(12万円×3か月)の収益ダウンになってしまいます。
賃借人が付きにくい不需要期は、どうしても家賃交渉においては不利になります。そのため、不需要期を迎えるタイミングは、前項の対策をしっかり行っておきましょう。

実録・こんな値下げ交渉をされた

では、実際に値下げ交渉をされた事例を紹介します。今回の事例は、都内にある以下のような物件です。
・賃貸マンションのオーナー
・1DK 30㎡ 月12万円の家賃
・6年住んでいる入居者で交渉は更新月の3カ月前(4月)
・交渉額は1万円

(1)家賃を交渉した理由

入居者が家賃値下げを主張した主な理由は以下の点です。
・築年数が経過しているので同じ賃料はおかしい
・近隣のマンションも家賃を下げている

このマンションを退去するときは、退去日の2カ月前通知なので、更新月の3カ月前に交渉をしてきたようです。

(2)交渉の過程と結果

結論からいうと、この大家さんは交渉額1万円を受け入れてしまいました。その理由はまさに上述した2点です。
交渉は、賃貸管理会社経由で聞きました。管理会社から連絡があったときは、6年間も住み続けているほどこのマンションを気に入っているので、交渉に応じなくても退去しないだろうと大家さんは思ったそうです。

そのため、すぐにNOという返答をして、管理会社経由で伝えてもらいました。しかし、その返答をした途端に、入居者は交渉をやめて退去手続きを申し入れてきました。ただ、退去されてしまうと、実際に賃借人を募集するのは5月~6月になるため、不需要期と被ってしまいます。

(3)再度の交渉

不需要期で賃借人が付かないことを恐れた大家さんは、1万円の値下げを受け入れるという連絡を入居者にしました。ただ、「一度断られているのに退去すると言った途端に値下げに応じるのはおかしい」と入居者が言い、退去の意思は変わりませんでした。

しかし、結局入居者も目当ての物件が見つからずに、1万円の値下げで賃貸を実行することを決めました。そのときに、大家さんへの不信感から入居者に「いろいろと振り回されたので更新料はゼロにして欲しい」と交渉されましたが、管理会社が何とか抑えたというわけです。

まとめ

このように、いつかはぶつかる「値下げ交渉」は、まずその対策方法を知っておきましょう。その後、交渉されやすい時期や交渉に関しての注意点を理解して、なるべく穏便に交渉することが大切です。間違っても、最後の事例のような事態にはならないよう気を付けましょう。

富田浩司 (ファイナンシャルプランナー)

富田FP事務所 代表

ゴールドマンサックス証券などの勤務を経て2007年に富田FP事務所を設立。主に、子育て世帯のマネープランをテーマに、講演、執筆活動などを行い、金融リテラシー向上に努める一方、FP相談では本音で話し、本気でサポートするFPとして、多数の顧客から支持を得ている。

<得意分野>
ライフプラン(マネープラン)コンサル、子育て・教育資金コンサル、長期分散投資コンサル、保険新規見直しコンサル、不動産購入・不動産投資コンサル、節約経費削減コンサル、法人税金対策コンサル