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【どうすれば通る?】不動産におけるフルローンとは

投資用不動産を購入する場合、現金で購入できるほどの金融資産があれば良いのですが、頭金を出せるほどの預貯金などの自己資金はないけれど、どうにか不動産のオーナーになりたいと希望する方もいらっしゃいます。そのときに力になってくれるのが金融機関からの不動産投資用のフルローンです。フルローンを利用して頭金なしで賃貸用の不動産を入手するには金融機関の審査に通りやすくしておくことが必要です。今回は賃貸用不動産購入のための不動産投資用フルローンに着目してみました。

不動産におけるフルローンとは

自分で住む土地や建物だけでなく、人に貸して収益を得るための賃貸物件としての不動産を購入したいと考えたときに、必要不可欠なものが購入代金の準備です。諸費用も含めた購入額の全てを保有している現金で賄えたならば、不動産投資用ローンについて考える必要はありません。しかし、不動産は大きな額の買い物です。そのために不動産投資用ローンを活用することは多いといえます。

不動産物件の購入額の内訳は大きく分けて、①土地代、②建物代、③諸費用、の3つです。不動産広告などに記載されている物件価格とは、このうち①土地代と②建物代を合わせたものです。③の諸費用は登記費用、銀行の手数料、火災保険料、仲介手数料、固定資産税や不動産取得税など、不動産購入時に不動産会社以外に支払う費用の総額です。

投資用の賃貸不動産を購入する際は、一般的に、物件価格の一部を頭金として自己資金で準備しておき、自己資金で不足する額について不動産投資用のローンを利用します。しかし、不動産物件は様々あり、物件の場所や、マンションの1室なのかアパートなどを1棟購入するのかにより、物件価格が大きく異なってきます。もし東京都の山手線内にマンションを1棟購入して賃貸しようと考えたら億単位の大きな物件価格になることもあるでしょう。購入を決めた際に、不動産会社から物件価格の1割から2割を頭金にしてほしいと言われることもありますが、実際にそれだけの資金を準備できないこともあります。
その時に活用できるのが不動産投資用ローンにおけるフルローンです。不動産物件を購入する際に、自己資金を頭金として内入れすることなく、不動産の物件価格の100%全額を金融機関から借り入れることができます。フルローンは、全額融資と呼ばれることもあります。

金融機関によって差異はありますが、不動産投資物件の購入をフルローンで行うためには、対象の不動産の今後の価格上昇が見込めるか、対象の不動産の現在価値が融資額より高額であるかなど、物件の価値も審査基準の1つとされることがあります。また、投資用の賃貸物件であるならば、賃貸して不動産収入が多く得られるかどうかも審査の基準とされることがあります。
金融機関は自らが居住するための住宅ローンより、不動産投資用ローンに対して厳しい条件を示していることが多々あります。万一の場合でも融資した額は回収しなければならならないため、金融機関は不動産投資用ローンに対して該当不動産を担保とした抵当権を設定するなど、フルローンを借りるためにはいくつかの条件を満たしておく必要があるのです。

頭金なしで大丈夫?

では、自己資金が不足する場合において、頭金なしで不動産投資用のフルローンを利用しても大丈夫なのでしょうか。フルローンのメリットとデメリットについて考えてみましょう。

▼フルローンのメリット
フルローンを利用するメリットの第一は、頭金の内入れが不要なため、保有している預貯金などの自己資金をそのまま維持できることです。不動産投資用物件の頭金のために自己資金をすべて使ってしまったら、生活上での急な支出、例えば冠婚葬祭などがあると家計を圧迫してしまいます。それを防げるのがフルローンのメリットです。
また、収益性が高いなどの魅力ある不動産が見つかって購入したいと思ったときに、頭金が準備不足であることもあります。そのとき購入を見送ってしまうと、魅力ある不動産はいずれ他のオーナーの手に渡ってしまうでしょう。頭金の準備が間に合わなくても、フルローンが利用できれば、投資用不動産の購入を諦めずにすみます。

▼フルローンのデメリット
その一方で、フルローンを利用するデメリットは、投資用不動産の借入額が大きくなり、月々の返済額が大きくなることです。投資用不動産のローンは、居住するための住宅ローンより金利を高めに設定している金融機関が多いことや、借入額そのものも大きくなる傾向があることから、総返済額は高額になります。賃貸した物件の満室状態が続いて計画通りに収益が上がっていれば返済に関して問題は発生しないといえますが、空室が続いて計画通りの収益が上がらなかったときには収益よりもローン返済の方が高額になることもありえます。収益を目的として購入した物件であるにもかかわらず、ローン返済額の方が多くなることは本来目的ではありませんし、万が一、返済が滞り、購入した物件を売却しなければならなくなったとき、返済額の残高より売却額が下回ることもあります。フルローンでのローンだけが残る可能性もあります。

以上のことから、頭金なしのフルローンを利用し不動産投資用の賃貸物件を購入したいと考えたら、まずメリットとデメリットについて理解し、フルローンを利用しても返済が可能なのか、しっかりと資金計画を立てておくことが必要といえるでしょう。

フルローン購入の審査事例

魅力ある物件が見つかり、不動産投資用のフルローンでの物件購入と月々の返済が可能となる資金計画が立てられたら、次に待っているのは金融機関でのローン審査です。先にも述べたように、金融機関は返済可能だと判断した場合に融資をしてくれます。では、返済可能かそうでないかを判断する、いわゆる「審査」に通りやすいケースと通りにくいケースはどのようなものでしょうか。

例として、東京都内に物件1億円の6室あるアパートを購入するため、投資用不動産のフルローンを行うケースについて考えてみましょう。ローン手数料や税金などの諸費用などは考慮から外し、融資金利4.00%、20年間固定金利、元利均等返済でボーナス返済なしとします。
この場合、毎月の返済額は約60万円(年間返済額は約720万円)で、20年間の総返済額は1億4500万円程度となります。
6室あるアパートですから、1室10万円で賃貸して20年間、常に満室であれば、毎月60万円の収入によりプラスマイナス0円となりますので、10万円を超える賃貸価格を設定すすれば収益が上がっていく物件です。では、以下いずれのオーナーがローン審査に通りやすいといえるでしょうか。

〈オーナー1〉
・上場企業のサラリーマン、45歳
・勤続20年、課長職、年収約700万円
・配偶者と子供2人の4人家族
・金融資産残高約1,500万円
・その他ローンなし

〈オーナー2〉
・個人投資家、45歳
・投資歴2年、昨年の投資収益は約800万円
・配偶者と子供2人の4人家族
・金融資産残高約500万円
・車のローンの残高約200万円

どちらが通りやすいかの回答に迷う時には、あなたが貸す側(金融機関)であったらどちらのオーナーにお金を貸したいと思うか、視点を変えて考えてみましょう。

審査の基準については、個々の金融機関によって異なるため事例に示す上記の情報だけである場合、実際にはどちらのオーナーも審査を通す金融機関も、どちらも審査を通さない金融機関もでてくるでしょう。
金融機関が確実に返済してくれる方へ融資をするとしたら、以下のような条件が審査に有利に働くと考えられます。
・公務員や会社員で勤務歴が長い。
・不動産投資以外に定期的な安定した収入がある。
・一定の自己資金があり、他のローンが少ない

上記3条件がそろっているのは〈オーナー1〉の方です。したがって、〈オーナー1〉が審査に通りやすく、〈オーナー2〉が審査に通りにくいでしょう。

まとめ

今後、フルローンを利用して、投資用不動産物件の購入を考えているならば、ローン審査が通りやすくなるように、少しでも条件を良くしておくことも1つの方法です。サラリーマンの場合、年収を自分の意志で上げることは難しいですが、1年でも長く勤務を継続することや、節約して自己資金を増やすことはできると思います。
また、不動産のオーナーになりたいという希望がかなうように、収益が期待できる物件や、お買得の物件を見つけるための不動産に関する情報を収集することや、お金を借り方や返し方などの日々の勉強も欠かせません。

執筆者
杉浦 詔子(ファイナンシャルプランナー)

みはまライフプランニング代表
■保有資格
CFP(R)、1級FP技能士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント
「働く人たちの夢をかたちにする」会社員とそのご家族等へのキャリアプラン(生活)とライフプラン(家計)の相談と講義、執筆を行っている。