賃貸経営・アパート経営・マンション経営
資金運用の事なら「大家ナビ」

  1. トラブル
  2. 続く不正融資問題…ゴールデンゲインに続きTATERUも【前編】

続く不正融資問題…ゴールデンゲインに続きTATERUも【前編】


女性向けシェハウス「かぼちゃの馬車」の倒産が世間を賑わした後、スルガ銀行の不正融資問題が大々的に報道されました。不動産投資をされている方や、これから始めたいと思っている方は興味深く一連の報道から目を離せなかったのではないでしょうか。

本記事では、不正融資問題の【前編】として、事件の詳細を見ていきたいと思います。

続く不正融資問題

スルガ銀行による不正融資問題と関連して、シェアハウス事業を営むスマートデイズやゴールデンゲインの経営破綻、投資用アパートを取り扱うTATERUによる預金口座改ざんなど不動産融資に纏わる問題が立て続けに起こっています。以下で、それぞれの企業がどのような形で不正融資に関わっていたのかについて見ていきましょう。

「かぼちゃの馬車」事業を行うスマートデイズの経営破綻

スマートデイズは女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を投資用不動産として販売、運営を行い、2018年4月に経営破綻するまでに約700名の投資家に800棟1万室を販売していたとされています。その事業内容はシンプルなもので、スマートデイズが建設会社を使いシェアハウスを建築して、投資家に販売。さらに、投資家からシェハウスを一括で借り上げ、シェアハウスの運営から生まれた収益から手数料を差し引き、残りを賃料として投資家に支払うというシステムで、いわゆるサブリース事業として運営を行っていくというものです。

スルガ銀行との提携ローンで気軽に投資可能に

スマートデイズは「かぼちゃの馬車」を、スルガ銀行との提携ローンを用意することで、投資家が手軽に購入できるよう準備していました。さらに「かぼちゃの馬車」は投資利回り8%で30年の長期家賃保証という高条件を掲げていました。

多少でも不動産投資についての知識や経験がある方であれば、都内の新築不動産で利回り8%、それも30年間保証と聞けばその条件のよさに驚くのではないでしょうか。しかし、実際には普通の運営でそのような好条件を実現、維持できるわけなどはなく、裏側では自転車操業に陥っていたのが実態です。

就職斡旋による紹介料も投資家の収益に充当


本来であれば、スマートデイズから投資家に支払う賃料は一括借り上げされたシェアハウスの家賃収入から支払われるべきですが、利回り8%の実現はそう簡単なことではありませんでした。そこで穴埋めのためのさまざまな手法が駆使されていました。その一つが、地方から上京してきた女性をシェアハウスに入居させ、家賃収入を得るとともに、その女性に対して大手企業の仕事を斡旋して紹介料を得、その紹介料を利回り8%の資金源に充てるというものです。

見方によっては賢いやり方といえなくもないですが、紹介事業がうまくいかなくなった時にどうやって利回り8%を維持していくのか甚だ疑問が残ります。

・建物と土地からサヤ抜きされその一部を投資家の収益に充当

スマートデイズでは、さらに悪質なことが行われていました。それは、シェアハウスの建設にあたり、土地、建物ともに実際の価格より大きい金額で契約書を作成し、そのバックマージンを得ていたということ。スマートデイズは、このマージンを自社の利益とするとともに、投資家に支払う利回り8%の資金源に充てていました。投資家は知らない間に相場より高い金額を支払わされていたのです。

スルガ銀行からの融資が滞り倒産

スマートデイズは上記のようなスキームで投資家に対する利回り8%を実現していましたが、このスキームはシェアハウスの新築が続かなければ継続できないのは明らかでしょう。2017年10月には、スルガ銀行による融資方針が変更されたこともあり、スマートデイズから投資家に対して支払われるサブリース賃料は減額されることが通知されました。投資家にとっては寝耳に水の話だったでしょう。なにせ、30年家賃保証のはずだったのですから。

その後、事業は回復好転することなく、2018年4月に倒産してしまいます。

スマートデイズと同じくシェアハウス事業を営むゴールデンゲインの経営破綻


スマートデイズの経営破綻と時を同じくして、シェアハウス事業を営むゴールデンゲインの経営破綻が報じられました。ゴールデンゲインは都内を中心として100棟程のシェアハウスを建築した会社で、その投資家に対する融資には同じくスルガ銀行が関わっていました。

ゴールデンゲインによるシェアハウス事業もスマートデイズの「かぼちゃの馬車」と同じような流れをたどり、2017年12月には「保証された賃料を支払うことができなくなった」旨が投資家に対して通知され、同時期に代表以外の役員が全員辞任するという事態に発展します。こちらも、その後回復好転することなく、2018年5月に倒産することとなりました。

TATERUの不正融資問題

スマートデイズの「かぼちゃの馬車」やゴールデンゲインのシェアハウス事業にスルガ銀行が関わっていたことから調査が行われ、スルガ銀行の不正融資が明るみに出ることになりましたが、それと関連する形で報道されたのが投資用アパート事業を運営するTATERUの不正融資問題です。

TATERUは投資用アパート購入の資金として、投資家に対する融資を引き出すにあたり、預金残高を改ざんして金融機関に提出するなどの不正融資を行っていたとされています。TATERUの投資家に対する不正融資は西京銀行が行っており、西京銀行側が融資に際して、改ざんの事実を把握していたかどうかは明らかにされていませんが、スマートデイズとスルガ銀行のように両者がタッグを組んで不正融資を行っていた可能性もあります。

不正融資問題が不動産投資に与える影響


もともと、2017年末頃より投資用不動産に対する融資は厳しく見られ始めていました。

今後、少子化により需要が少なくなることが予想される賃貸マンションに対し、不動産バブルともいわれる土地の高騰やローンの低金利化により不動産投資に対して過熱気味だったことなどが理由として挙げられるでしょう。金融機関としてはお金を貸出して収益を上げることも大切ですが、将来的にマンション経営が立ち行かなくなってしまうと貸したお金の回収ができなくなってしまいます。

こうした懸念材料もあり、投資用不動産に対する融資は審査が通りにくくなっていきました。スマートデイズやゴールデンゲイン、TATERUなどにより引き起こされた不正融資問題は、この傾向を一層強める可能性があります。

融資を引き出したい投資家と販売会社、金融機関の心理

基本的に、投資用不動産を売買するにあたって、投資用不動産を購入する投資家も、販売する販売会社も、それに融資する金融機関も「融資したい(受けたい)」と思っています。しかし、年収や属性が、融資を引き出すのに十分でなかったり、過去に延滞があったりすると融資の承認を得ることができません。

販売会社としては、せっかく見つけたお客様を融資をネックに失ってしまうのは避けたいところです。そこで、スマートデイズやTATERUはこの問題を解決するために、書類を改ざんして不正融資(不適切融資)を行ってしまいました。今回ご紹介した、不正融資に関わった企業はどの会社も短期間で大きく業績を伸ばしています。しかし、その裏側では悪質な違法行為が日常茶飯事的に繰り返されていたのです。

これらの不正融資の発覚により投資用不動産に対する融資に関しては今まで以上に厳しい基準で審査が行われることが予想されます。投資家としては、こうした前提があることを理解しつつ、堅実なマンション経営で実績を出し、金融機関との強固な信頼関係を築きあげていく姿勢が求められるでしょう。

まとめ

不正融資問題として、スマートデイズとゴールデンゲイン、TATERUの問題を主に取り上げました。後になって振り返ると「なんでこんなことに引っ掛かったのか」と思うようなことも、いざ当事者になると気付きにくいものです。不動産投資は背負うリスクも大きいですので、どこか危ない雰囲気を感じたら、一歩引いて冷静に考えことが大切です。なお、後半ではこれらの不正融資問題に際して、実際に大家さんに関わる問題などお伝えしていきたいと思います。

監修者
小林弘司
不動産コンサルタント/不動産投資アドバイザー
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行っています。

国内最大の不動産投資ポータルサイト『楽待(らくまち)』の「8人の成功者による不動産投資ノウハウ完全版 8つのステップ 2014」の講師に約2万人の投資家の中から選出。http://www.rakumachi.jp/news/thanks/8step2014#m05 著書 「自主管理」で年4000万円稼ぐマンション経営術(洋泉社) http://www.yosensha.co.jp/book/b252584.html スマホ1台でらくらく儲かる不動産投資法 (ダイヤモンド社) https://www.diamond.co.jp/book/9784478104927.html 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント総合研究所 特任研究員。 経済産業大臣登録 中小企業診断士、MBA(経営管理修士)、一級販売士、GCS認定コーチ。 ARC CONSULTING(アーク・コンサルティング) 代表経営コンサルタント。(社)東京都中小企業診断士協会 城東支部所属。 東京商工会議所 企業変革アシストプログラム事業アドバイザー。 東京信用保証協会 経営力強化専門家。 国内最大不動産投資サイト「楽待」認定コラムニスト。 http://www.rakumachi.jp/news/archives/author/kobachan 好きなことは、読書、サッカー、愛犬との散歩などです。 https://twitter.com/hkobachan https://www.instagram.com/hiroshikobayashi21/