賃貸経営・アパート経営・マンション経営
資金運用の事なら「大家ナビ」

  1. トラブル
  2. 続く不正融資問題…ゴールデンゲインに続きTATERUも【後編】

続く不正融資問題…ゴールデンゲインに続きTATERUも【後編】


不正融資問題について、前編でシェアハウス事業「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズや、同じくシェアハウス事業のゴールデンゲイン、それと連座する形で取り上げられた投資アパートのTATERUについて、その事件の詳細をお話ししました。本記事では、これらの不正融資問題から起こる影響のうち、大家さんにかかわる問題や、実際に大家さんがどのような手口で騙されてしまったか、などについてお話ししていきます。

不正融資で実際に大家さんにかかわる問題とは

今回の不正融資問題について、実際に大家さんにかかわる問題としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

スルガ銀行だけが不正融資を行っていたのか?

今回のスマートデイズやゴールデンゲインの倒産により、それらの企業の背後で不正融資を行っていたスルガ銀行が注目を集めています。TATERUについては投資家に対する融資審査にあたり、その預金残高を水増しして審査したことが発覚しましたが、その融資を担当していたのは山口県にある第二地方銀行である西京銀行でした。

TATERUの事件については、西京銀行の関与については明らかにされていませんが、スルガ銀行のように積極的に不正融資を行っていた可能性もあります。また、今回取り上げられている販売会社や金融機関以外にも同じようなスキームで投資家を集めていた企業の存在も考えられます。

スルガ銀行の不正融資からTATERUの不正融資が発覚した?


TATERUの不正融資問題は、タイミングからす見るとスルガ銀行の不正融資が明るみになったことから、発覚した問題と言えるかもしれません。実際、TATERUの不正融資問題ではTATERUで投資アパートの取得を考えていた会社員がTATERU側からの提案により自己資金のない状態で融資の承認を得られたものの、本人が直接金融機関(西京銀行)に提出した通帳の開示を要求したところ、残高が23万円から623万円に水増しされていたことが発覚しています。

この会社員の方が物件を取得しようと思ったのが4月、情報を開示したのが6月。スマートデイズやゴールデンゲインが倒産したのが5月なので、不正融資が行われているのでは、と不安に思ったことから行動したのでしょう。TATERUの行った預金通帳の改ざんのようなことは、同様に他の企業でも行われており、発覚していないだけという可能性もあります。

不動産価格への影響はどうなる?

一連の不正融資問題について、金融庁が本格的に他の販売会社や金融機関の取り締まりを始めるようであれば、不動産価格にも影響も懸念されます。投資用不動産を購入するには、ほとんどのケースで融資を取り付ける必要がありますが、その融資が一連の不正融資を発端に広く取り締まられ、厳しい審査が行われるようになれば、投資用不動産価格の下落に繋がっていくことでしょう。

不動産融資の厳格化により、これまで手軽に投資用不動産を購入できていた人が購入できなくなる一方で、一部の高属性・高所得の方や、すでに不動産投資で実績を出している方には投資用不動産が手に入れやすくなる好機が訪れます。しかし、ここ数年で上昇した不動産価格による含み益を売却して現金化したいと思っている方にとっては、そのタイミングをよく見極める必要が出てきたと言えるでしょう。

騙された大家さんはいるのか?


「かぼちゃの馬車」に投資した投資家の方の声を聞いてみると、中にはこれまでも不動産投資を長年行ってきていたような人もいるようです。2017年前後の市況で、都心で利回り8%、しかも30年家賃保証などという好条件の投資に裏がありそうなことは、考えてみれば分かりそうなものですが、実際に当事者になってみると冷静に判断できないこともあるのでしょう。

そこには、スマートデイズの担当者による巧みな営業があったことが想像されます。今回は詐欺的な要素も多分にあったことから一方的に責めることは出来ませんが、一投資はあくまでも自己責任ですので自分の身は自分で守ることを肝に銘ずる事が大切です。今後、甘い話をもちかけられた時は、今回の不正融資事件を教訓に、以下のようなことに注意しましょう。

不動産投資は自己資金を貯めてから始める

TATERUで行われた不正融資では、23万円しか貯金のない会社員の方が自己資金なしで融資を受けられると提案を受け、預金残高の改ざんがなされた上で融資の承認を受けています。そもそも、投資用アパートの取得には物件価格以外にもさまざまな諸経費がかかることから、少なくとも物件価格の1割~2割程度は自己資金で用意することが基本です。

中には、そのような不正を行わなくとも物件の条件がよかったり、投資家の属性や年収がよかったりすると融資の承認を得られることもありますが、当然のことながら、自己資金をできるだけ多くいれた方が毎月の返済額は少なくなり、マンションの経営も安定します。特に、まだマンション経営を始めたばかりという方や、これから始めるという方は自己資金を貯めてから取り組むことをお奨めします。

金利の高いローンは利用しない


シェアハウス事業「かぼちゃの馬車」では、提携のスルガ銀行から融資を受けることでスキームが成立しいました。スルガ銀行のローンの金利は一般的な金融機関のアパートローン金利と比べても割高であした。、一般的な金融機関であれば、(地域によって異なりますが)属性のよい投資家で1%台、一般の方でも2%台での融資が普通ですが、スルガ銀行の場合は属性の高よい投資家でも3.5%程度、一般の方だと4%以上になることもありました。

マンション経営を成功させるためには、「金融機関からの融資金利をできるだけ安く抑える」ことも重要なポイントの一つです。例えば、1億円の融資を借入期間30年で借りる場合、金利3%の場合だと月々返済額は約42万円なのに対して金利4%だと約47万円、総返済額では金利3%で約1億5,000万円なのに対し、金利4%で約1億7,000万円と金利1%の差で実に2000万円の差が生まれるのです。相場より高い金利でしか融資を受けられないようであれば、その投資についてはきっぱりと断る勇気を持つことが必要です。

サブリースのリスクを把握する

「かぼちゃの馬車」の事業はサブリースにて行われていました。サブリースとはサブリース会社などが大家さんから賃貸収入物件を一括で借り上げ、その満室時の家賃収入の80%等の割合で大家さんに対して賃料を支払うといったものです。大家さんは満室時の家賃収入との差額を手数料として支払う必要がありますが、空室リスクを負うことなく毎月安定した収益を得ることができます。

しかし、このサブリースは昔からさまざまな問題のあった契約でもあります。例えば、サブリース契約では「30年家賃保証」などとうたわれているケースがありますが、実際には約款で賃料の見直しについて書かれていたり、そうでなくとも経営状況の悪化などを理由にサブリース会社側から賃料の引き下げの要求がなされたりすることがあります。

参考:朝日新聞「レオパレス21に集団訴訟相次ぐ 銀行と不動産業者が結託、裏で手数料も」
https://dot.asahi.com/wa/2017092000013.html?page=1

その他、サブリース会社は30日~180日までの免責期間を設けることができ、この期間中は賃料を支払わなくてよかったり、原状回復費用やリフォームについての負担を半ば強制的に求められたりするなどのサブリース会社が一方的に優位な契約形態がもっぱらです。サブリース契約についてはそのリスクについてよく理解した上で慎重に取り組むようにしましょう。

まとめ

シェアハウス事業「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの倒産によるスルガ銀行の不正融資が明るみになりましたが、これらの企業以外でも不正融資が行われていた可能性もあります。今後、金融庁が本格的な取り締まりに動くようであれば不動産価格への影響も避けられないでしょう。大家さんとしては、自分にも起こりうることと考え、今後の動向をよく見ながら経営を進めていきましょう。

監修者
小林弘司
不動産コンサルタント/不動産投資アドバイザー
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行っています。

国内最大の不動産投資ポータルサイト『楽待(らくまち)』の「8人の成功者による不動産投資ノウハウ完全版 8つのステップ 2014」の講師に約2万人の投資家の中から選出。http://www.rakumachi.jp/news/thanks/8step2014#m05 著書 「自主管理」で年4000万円稼ぐマンション経営術(洋泉社) http://www.yosensha.co.jp/book/b252584.html スマホ1台でらくらく儲かる不動産投資法 (ダイヤモンド社) https://www.diamond.co.jp/book/9784478104927.html 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント総合研究所 特任研究員。 経済産業大臣登録 中小企業診断士、MBA(経営管理修士)、一級販売士、GCS認定コーチ。 ARC CONSULTING(アーク・コンサルティング) 代表経営コンサルタント。(社)東京都中小企業診断士協会 城東支部所属。 東京商工会議所 企業変革アシストプログラム事業アドバイザー。 東京信用保証協会 経営力強化専門家。 国内最大不動産投資サイト「楽待」認定コラムニスト。 http://www.rakumachi.jp/news/archives/author/kobachan 好きなことは、読書、サッカー、愛犬との散歩などです。 https://twitter.com/hkobachan https://www.instagram.com/hiroshikobayashi21/