「うつ病」という言葉はほとんどの方が知っていると思います。
しかし、その病気に対する知識はあいまいな人が多いのではないでしょうか?うつ病は身体的な病気とは違い、治療には多方面からのアプローチが必要です。
- もし家族がうつ病にかかってしまったら?
- それが義父や義母の場合は?
- 「お嫁さん」の立場としてはどういう接し方がいいのかな?
- 積極的に関わるべきなのかな?
- 治療ってどうすればいいの?
高齢者がかかりやすいともいわれる「うつ病」を掘り下げながら、義両親がかかってしまった場合の対処方法を検証してみます。回復へのヒントを見つけてください!
義両親がうつ病になってしまった場合の接し方は?
うつ病になってしまった義両親への接し方は?
義父や義母がうつ病になってしまった。なんとか治してあげなくちゃ。
そう思いますよね?
でも特別になにかをしてあげる必要はないのです。何もしてあげなくていい、ということではありません。
身近な人がうつ病になってしまうと、どう接して良いかわかりませんよね?
なにかしてあげたい、してあげなきゃ、と思う気持ちはわかります。ですが、うつ病の人に対して重要なのは周りの共感なのです。
「しんどい…..」と訴えられたら「しんどいよね、つらいよね」とまずはわかってあげる。それが大切なのです。
「何かをしてあげる」の前に当人に寄り添って話を聞いてあげましょう。そこからうつ病の改善へのステップが始まります。
どのようなコミュニケーション方法がよい?
ではどのような方法で接していけば良いのでしょうか?
まずはうつ病の人へのNGを理解しましょう!
これらはどれも本人の負担感を助長して重荷になるだけです。
うつ病の人は何に対してもネガティブになりがちです。追い詰めてしまうような言葉は避けてください。かける言葉がみつからなければそばに寄り添ってあげるだけでいいのです。
安心感を与える接し方を考えましょう!
あなたが義両親と同居なのであれば、そっと見守りながら今まで同様に接してあげます。過度に心配をするような言葉をかけるとかえって自分が病気であることを気に病んでしまうでしょう。
また、うつ病は肉体的にも疲れやすくなりますので、日常生活で大変そうなことを少しずつサポートしてあげてください。洗濯や食事の支度など今まで出来ていたことが出来なくなります。
口数が少なくて元気がないなあ、と思っても話すことやコミュニケーションをとることを強要しないようにしましょう。
お子さんはいるでしょうか?
おじいちゃん、おばあちゃんは病気だから、と遠ざけるのではなく、それまでのように接する時間をつくりましょう。もちろん孫との時間が義両親の癒しの時間、安らぎの時間となるタイミングを見計らうことが大切ですよ。
うつ病になりやすい義両親の性格や特長は?
うつ病は誰しもがかかる可能性のある病気です。しかしながら、うつ病にかかりやすい気質もあるようです。
では、どのような人がかかりやすいのでしょうか?
うつ病になりやすい親の性格や特長
うつ病はこのような性格の人がなりやすいと言われています。
- 生真面目
- 完璧主義
- 責任感が強い
- 自分に厳しい
- 凝り性
少し不器用で臨機応変にできない、別な言い方をすれば良い加減なことが許せない、そんな人がなりやすいイメージです。
そして発症の原因が明らかでないことが多いのです。小さな環境の変化が次第にストレスとなって蓄積し、うつ病に至ります。精神的な症状と身体的な症状とが複合して起こり、治るまでに時間を要します。
自らは気づかないうちに心身に不調をきたすことがあるので、周りの家族が不調のサインを見逃さずに対応できれば重症化を防げます。
そもそもうつ病とは?適応障害との違いは?
それではここでうつ病について詳しくみてみましょう!
うつ病とは?
うつ病〜気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害である。
うつ病は他の精神障害と同様、原因は特定されていないため、原因によってうつ病を分類したり定義したりすることは現時点では困難とされている。
出典元:うつ病ーwikipedia
うつ病は明らかな原因が不明ですが、きっかけとなる出来事が重なることにより発症するとみられています。
また、その症状は精神的症状と身体的症状とが複合的にあらわれます。
きっかけ | 家族や大切な人・ペットとの死別、仕事での失敗・退職、子供の独立、離婚などの喪失体験のほか、出産・昇進・引越しなどの環境の大きな変化 |
---|---|
精神的症状 | 無関心、不安、焦り、イライラ、気分の落ち込み、意欲減退、悲観、ボーッとする、集中できない、ミスが増える、外見を気にしなくなる、口数が減る…….など |
身体的症状 | 頭痛、動悸、耳鳴り、睡眠障害、食欲不振、味覚障害、腰痛、下痢・便秘、肩こり、疲れやすい、生理不順……など |
慢性的な体の病気がある場合も、不安感からうつ病に発展することがあるので要注意です。
身の回りの環境が変わった時も注意をしてあげてください。また、女性は男性の1.6倍の発生率があるといわれています。
適応障害との違いは?
うつ病とよく似た症状があらわれる病気に「適応障害」があります。症状がほとんど同じなので混同されがちですが、明らかな違いがあります。
それは発症の原因がはっきりしているかどうかです。
- 「うつ病」・・・・コレという原因が特定できない
- 「適応障害」・・・・決まったストレスに対する直接の反応
つまり適応障害の場合は引き金となるストレスに対応することで症状が改善されることが多いのです。
また、どちらも症状に波がありますが、適応障害の場合はムラが大きく、喜怒哀楽が激しくなります。そして、自分の起こした行動に対して罪悪感がありません。うつ病の場合は自分を責める、悲観する、さらに不安になるといった特徴があります。
治療法として、うつ病の場合は投薬の効き目がありますが、発達障害はあまり薬の効き目がありません。
認知症じゃないの?
そして高齢者のうつ病の場合にとても気をつけなければならないことがあります。
それは「認知症」と誤解して放置してしまうことです!
高齢者はほとんどが
↓
〇 自分もまわりも年齢のせいと考える
↓
〇 不調なのは認知症のせいかも?
↓
〇 軽い認知症は誰にでもあることと何も対処しない
↓
〇 気付くとうつ病が重症化
といった悪い流れに向かってしまう危険があります。
うつ病と認知症の違いです。
うつ病 | 認知症 |
---|---|
進行が早い | 徐々に、ゆっくり |
物忘れなどに対して不安を感じる | 物忘れに対する焦燥感を抱かない |
自責の念がある | 自覚がない、不安を抱かない |
65歳以上にあらわれるうつを「老人性うつ」といいます。
仕事も辞めて体力気力も落ちた高齢者は次第に活力を失いさまざまな物事に対してモチベーションが下がります。そのような心理的な要因はうつにつながりやすくもあります。
老人性うつは急に症状が出るために気づきやすいので、高齢者に対してはまわりの人による日頃の観察が大切です!
遠方に住んでいる義両親がうつ病になった場合のサポートは?
あなたが同居していたり、近くに住んでいるのなら見守りもサポートもある程度はできるでしょう。しかし、遠方に住んでいた場合はどうすればいいでしょう?
遠方に住んでいる義両親がうつ病になった場合はどのように接するべき?
まず初めに言えることは「お嫁さん」の立場としてあなたが出来ることは多くはありません。
遠方に住んでいるということは、それほど密な関係にはなっていないはずです。お嫁さんのあなたより、実子であるあなたの夫や義両親側の家族親族が中心になるほうがお義母さん、お義父さんも安心度は高いのではないでしょうか?
もちろんそれまでのあなたと義両親の関わり方やあなたの気持ちにもよることではあります。
そして、考えられるサポートは以下です。
うつ病についての理解をうながしましょう!
前述しましたが、本人も周りも病気と認めず、歳のせい、気のせいにしがちです。
何の病気でも言えることですが、本人が病気と向かい合わなければ改善には時間がかかります。上手に病気であることを伝え通院が必要であることをわかってもらいましょう。
見守り体制を充実させましょう!
うつ病に対して大切なことは当人へ寄り添うことです。
寄り添ってもらえていることを実感することで安心し、症状が落ち着いてくることが期待できます。遠方の義両親に対しては身体的な寄り添いは不可能なので、その他の方法で寄り添いましょう。
①電話やメールなどの連絡を頻繁にしましょう!
体調などを根掘り葉掘りたずねるよりは日々に出来事や孫の様子など日常会話が義両親の気持ちも安らぎますよ。
②見守りサービスを利用してみましょう!
カメラや電話など市販のものや警備会社などによる見守りサービスが充実しています。費用との相談ですが検討してみてもよいのでは?
③行政サービスを調べてみましょう!
義両親の住む地域の行政サービスは利用してるでしょうか?デイサービスなどの利用もうつ病の改善に役立つ場合もあります。
同居または引越し
これは最後の手段です。
ひとりにさせておくことは出来そうにない。老人ホームなどの利用もできない。そのような場合に同居するか近くで暮らすしか手立てはないですよね。
しかし、この場合はあなたが義両親側へ向かわなければなりません。なぜなら転居は環境の変化としてはとても大きなイベントだからです。
環境の変化がうつ病の原因のひとつとして考えられるために、義両親をあなたのそばへ呼び寄せることは大きな負担となり、デメリットしかありません。うつ病の悪化が心配されます。
義両親が今住んでいる地域で必要なケアを受けられることが最善です。そのような体制がとれるよう夫や義家族と相談してサポートを考えていきましょう!
うつ病は治療できる?老後が心配
うつ病になってしまったらどれくらいで治るのだろう?そもそも治療はできるのでしょうか?
うつ病になってしまった義両親の老後が心配、治療をすることは可能?
うつ病は治ります!
しかし何もせずに自然と治癒する病気ではありません。しっかりと治療を進める必要があります。うつの治療は次の3本柱から成り立っています。
- 環境調整
- 薬物治療
- 精神療法
1.環境調整
うつの治療に一番大切なのは休養です。
うつになりやすいタイプは責任感が強く真面目な人が多いので、休むことに罪悪感を持ちがちです。無理をすることは治癒を遅らせる原因になります。ゆっくり休める環境を作ってあげましょう。
ただ、高齢者の場合には休ませすぎるのも要注意です。肉体的な衰えを加速させる懸念もありますし、なんでもかんでもやってあげることで、自分は必要とされてない人間だと考えてしまい、かえって気分を落ち込ませてしまうこともあるからです。
2.薬物治療
抗うつ剤の服用です。高齢者には副作用を注意しなければなりませんが、自己判断での服用中止は治療の妨げです。身体的な病気と違い治ったかどうかの判断が難しいので医師の指示をしっかりまもることが重要です。
3.精神療法
うつ病の原因と考えられるストレスへの対処を学びます。
完璧主義な部分がストレスをためる原因なのだとすれば、手の抜き方を考える工夫が必要です。パートナーやペットなどとの悲しい別れが原因にあるのだとすれば悲しみからたちなおるカウンセリングなども必要でしょう。
うつ病は治療開始が早ければ回復も早く、治療が遅くなるほど回復にも時間がかかる病気です。
変化を見逃さない日々の観察が大事です。かかってしまったら、ゆっくりと休んで活力を取り戻せるようみなで支えあい、サポートをしていきましょう!
親がうつ病にならないような予防策は?
うつ病にかかってしまうと、病状にもよりますが治るのに半年、一年と必要なこともあります。
ケアしなければならない家族の負担も小さくはないですね。ですので、掛からずに済むような予防が大事です!
うつ病の予防策は?子供ができる予防方法!
うつの予防で最も大切なことは、前向きな気持ちを持って日常を過ごすことです。家族として生き生きと過ごせるようなサポートに目を向けましょう。
1.新しいことにチャレンジさせる!
家庭での新たな仕事をお願いしてみる。(家事でもいいしペットの散歩でもいいですね)また、新たな趣味や習い事を見つけるお手伝いをしてみましょう。
年齢にかかわらず新たなチャレンジは脳にも体にもいい刺激になります。
2.軽い運動をうながしましょう!
一緒に散歩をしてみるのもいいかもしれないですし、ウォーキングサークルなどを探してあげるのもいいですね。地域では早朝体操などはやっていませんか?
太陽光や運動は神経伝達物質の「セロトニン」の分泌をうながします。セロトニンは精神を安定させる役割があります。
3.バランスの良い食事をこころがけましょう!
食事は別にしていることが多いかと思います。歳を取ると食事量も減ることから食事そのものが淡白になりがちです。
偏った食事になっていないか気にかけてあげましょう。おかずを差し入れでもいいですし、気に入りそうなレシピを教えてあげるのでもいいかもしれませんね。
4.会話を心がけましょう!
脳の活性化には会話が一番です。なにかしら声をかけてあげましょう。遠方なら電話やメールですね。メールにチャレンジしてもらうのもいいかもしれないです。
興味を持ってもらえば老化防止にもなりますね。最近の高齢者は携帯やPCに触れている方も多そうです。LINEも覚えてもらって家族LINEなど楽しそうですね!
5.人や社会との交流を絶やさないようにしましょう!
歳を取るとどうしても引きこもりがちになります。
とくに男性の場合は地域との関わりがなかったために退職後にすることもなく家でボーッとするパターンが多くなります。地域の交流会や老人会などに積極的に参加するようにうながしてみましょう。
嫌がるかもしれませんがデイサービスなども良いかもしれません。高齢者向けのカリキュラムですのでなにか興味がもてることを見つけられるかもしれませんよ。
ただし、これらはあくまで予防法です。かかってしまったら逆効果になることも多いので医師の判断に従いましょう。
まとめ
ここまでうつ病に関すること、義両親がうつ病になってしまった時の対処法を検証してきました。まとめます。
- うつ病になった義両親には寄り添ってあげることが大切
- そっと見守りながらサポートをしよう
- うつ病になりやすい性格がある
- うつ病と適応障害との違いは発症の原因がはっきりしているかどうか
- 認知症との誤解に気をつけよう
- 遠方の義両親の場合のサポートは?
- うつ病の治療は?うつ病は治ります!
- 子供ができるうつ病の予防策5選!
高齢者が病気になると家族の負担はとても増えてしまいます。特にうつ病は治療に長期間かかってしまうこともあります。そのまま介護へとつながる心配もあります。
そうなる前に、親がある年齢になってきたら観察をしましょう。家族みんなが同じ意識をもてるように働きかけましょう。
元気で穏やかに暮らせるように気を配ってあげましょう!それはめぐりめぐってあなたのためにもなることですよ。
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