老後の資金がない親に対して子供ができるサポートは?

人生100年時代と言われ、平均寿命は年々延びています。

そんな中、84.4%もの人が老後の生活に不安を抱えているという調査結果があります。

また、自分自身の老後だけでなく、親の老後資金の問題を抱えている人も多いのではないでしょうか。

老後にかかる費用や、親のためにすべきこと・すべきではないことをまとめました。

老後の資金がない親!いくら必要?

定年を迎えてから亡くなるまで、だいたいどれくらいのお金がかかるのでしょうか。

総務省「平成29年度 家計調査」によると、65歳以上の夫婦が月々に必要となる金額は、食費や医療費などの生活費、および税金・社会保険料、住居費を合わせておよそ27万円と言われています。

公的年金の受給額は2人で平均19万円です。

つまり、月々およそ8万円の赤字になります。

65歳で年金を受給し始めてから20年生きると仮定すると、1920万円(およそ2000万円)必要になります。

さらに、家のリフォームや医療費など予定外の支出も出てくるため、老後資金は3000万円程度を目安に考えると良いでしょう。

また、生命保険文化センターが行った、「令和元年度生活保障に関する調査(2019年度)」というアンケートによると、老後の最低日常生活費は夫婦で平均22.1万円/月必要という結果となっています。

さらにゆとりある老後生活のためには上記に14万円上乗せした36万円が必要と回答が得られました。

参考:生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」

老後の資金がない親に対して子供ができるサポートは?

老後の資金が不足している親に対して、子供はどこまで援助する必要があるのでしょうか。

基本的に、親に掛かる費用は親の財布から出すようにしましょう。

今まで育ててもらった恩があるので「何とかしてあげたい」という気持ちもわかりますが、共倒れになってしまっても困るからです。

子供には親の扶養の義務がありますが、それはあくまで自分の生活を維持した上で、親の生活の面倒をみる余裕がある場合のみ。

今後の人生でどのような出費があるかわかりませんし、自分自身の老後の費用も必要になってくので無理は禁物です。

内閣府 「平成22年度 高齢者の現状及び今後の動向分析についての調査報告書」によると、別居している親に仕送りを行なっているのはわずか1.4%にとどまります。

多くの高齢者は退職金や貯金を切り崩して老後の生活費をやりくりしているようです。

老後の資金難に対して何をすべきか?

それでは、子供が親の老後資金のためにできることは何があるでしょうか。

まず、月々の収入と支出がそれぞれどれくらいなのかを把握することが大事です。

その上で支出を減らすこと、収入を増やすこと、それぞれの角度から考えていきます。

支出を減らす

1.固定費を見直す

保険料、通信料などの固定費は、契約の変更に少し手間はかかりますが、一度見直すと確実な節約につながります。

特に保険は若い時に加入した条件のままだと不要な保障が含まれている場合もあるので(死亡保障など)、不要なものは解約しましょう。

掛け捨てでなければ解約返戻金が戻り、老後の資金に回せます。

通信料は格安SIMへ変更するだけでかなりの節約になります。

親がデジタルに弱いのならば、変更の手続きを手伝ってあげましょう。

2.ローンが残っている場合は優先的に返済する

住宅や車などのローンが残っている場合は、利息が発生してしまうため優先的に返済してください。

ローンが残っていると生活保護を受ける際の障害にもなります。

収入を増やす

1.仕送りを行う/親を扶養に入れる

自身に経済的に余裕がある場合は、仕送りを検討してもいいでしょう。

また、親の生活費を負担し以下の条件を満たせば、親と別居していても自身の扶養に入れることも可能です。

扶養に入れることで扶養控除を受けられたり、医療費控除を合算して受けられたりするため、自身の節税になります。

〈親を扶養に入れる条件〉

  • 別居親の年収が180万円未満であること
  • 別居親の収入が被保険者(子)からの仕送り額未満であること

2.生活保護の申請を行う

収入が少なく預貯金がほとんどない場合には、生活保護を受け生活費に充てることができます。

生活保護受給の条件は以下の通りです。

生活保護費は、世帯収入と合わせて最低生活費となるように支給されるので、最低限の暮らしが保障されます。

〈生活保護受給の条件〉

  • 国が定めた最低生活費よりも収入が少ないこと
  • 10万円以上の資産や負債がないこと

生活保護費=最低生活費 – 世帯収入

3.リースバック、リバースモーゲージをする

もしも親が持ち家に住んでいる場合は、自宅を担保に生活資金の借入れを行うことが可能です。

リースバックとは自宅を売却して現金化し、売却した不動産をそのまま借りることで継続して住み続けることができるシステムです。

リバースモーゲージは自宅を担保にして一括または定期的な融資が受けられる仕組みです。

借入人が死亡した時に、担保となっていた不動産を処分して借入金を返済します。

存命中または契約期間中は利息のみの支払いとなるので家賃の支出を抑えられます。

ともに家の所有者が不動産会社となるため、固定資産税や修繕費などがかからなくなるので支出を減らすことにもつながります。

老後の資金がないと大変なことに

老後に十分な資金がないとどういう状況で困ることになるのでしょうか。

よくある事例をご紹介します。

1.急な病気になった場合

老後破産の原因として最も多いのが「病気」です。

定年後も働いて収入を得ている場合、急な病気により収入の減少と支出の増加が同時に発生してしまいます。

また、高齢であるほど病気の重症化や入院の長期化のリスクが高まり、その分医療費がかさみます。

医療費が一定額以上になった場合、「高額療養費制度」の対象となりますが、申請が必要となるので注意してください。

低所得者の場合は1ヶ月の自己負担限度額は3万5400円となり、支出を抑えられます。

とはいえ年金収入のみだと3万円以上の支出は少なくありません。

さらに入院中の食事代や差額ベッド代などは自己負担となりますし、退院後の通院費もかかります。

そのため、急な病気や入院に備えて医療保険に入っておくことも大事です。

必要な保障がついているか定期的な見直しも重要です。

2.住宅ローンが返済できない

退職金をあてにして住宅ローンの完済年齢を70歳以上にしている場合は要注意です。

退職金は法律で決まっている制度ではないため、思っていたよりも低かったという話も多く聞きます。

先ほど紹介したリースバックやリバースモーゲージはローンが残っていても利用できる場合があるので、検討してみてもよいかもしれません。

3.介護が必要になった場合

要介護状態になったとき、公益財団法人 家計経済研究所「在宅介護のお金と負担 2016年調査結果」によると、在宅介護をした場合でも1ヶ月あたり平均5万円の介護費用がかかります。

介護度が上がるにつれて介護費も上がります。

介護施設に入居した場合は、公的な介護施設では毎月の利用料は5〜15万円ほど、民間の介護施設では15〜30万円ほどが目安とされています。

原則65歳以上になれば公的介護保険が利用でき、介護度に応じてさまざまなサービスを受けることができます。

介護度は要支援1〜要介護5まで7段階あり、市区町村による認定が必要となるため、申請しましょう。

自己負担が一定額を超えた場合、医療費と同様に払い戻しが受けられる高額介護サービス費もあるので、こちらも利用してください。

まとめ

老後の資金がない親に対して子供ができることについてまとめます。

 

  • 老後にかかる費用は夫婦で最低およそ2000万円(目安は3000万円)
  • 親にかかる費用は基本的には親の財布から
  • 足りない生活資金をまかなう方法は「仕送り」「生活保護などの社会保障」「持ち家を担保にした借入れ」など
  • 医療費が高額になった場合は高額療養費制度、介護費は高額介護費制度を利用。ともに申請や認定を受ける必要がある

最も大事なことは自分のお金を注ぎ込みすぎないことです。

お金のことに関してわからないことがあれば、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談してみるといいでしょう。

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また、今後の医療の発展によりさらに寿命が延長し、自分自身に必要な老後費用も上がる可能性が高いです。

早いうちからお金についてしっかり考えて、悠々自適な老後に備えてください。

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