日本の離婚率はどんどん上昇しており、現在は35%にも昇ります。つまり、3人に1人は離婚しているのが現実です。そんな中で子供が成人してから離婚する、いわゆる「熟年離婚」も増えてきています。
親が熟年離婚した場合、その先の人生はどうなるのか、病気や怪我の時の看病はどうするのか、介護は誰がするのか、お金はあるのか、などなど心配なことがたくさんありますよね。
この記事では親が熟年離婚した場合、子供にはどのような負担や義務が生じるのかを紹介します。5分程度で読める記事となっています。
親が熟年離婚をしたら介護はどうなる?
人生で誰もが避けて通れない問題のひとつに、親の介護をどうするかがありますよね。子供には血縁である親の扶養義務がありますし、親が老いていくのはどうしようもないことです。
親が離婚していると夫婦間で助け合うことができないので、介護が必要になった時の子供への負担は大きくなります。もしも両親ともに介護が必要になった場合は、2拠点で介護をしなくてはならないのでかなり大変です。
ここで忘れないでほしいのが、この「扶養の義務」はあくまで自分の生活を維持した上で親を養う余裕がある場合のみに限られます。
自分の生活で手いっぱいなのに、無理に介護をする義務はありません。
現在、介護保険を用いて様々な行政及び民間の介護サービスを受けることができます。そのため無理に介護を全て行う必要はありません。
親から熟年離婚の相談や報告を受けた時には自分がどこまで介護をするのか、どこからは協力できそうにないかなど、話し合っておくといいでしょう。
熟年離婚をする理由と背景は?
近年、「熟年離婚」という言葉を耳にすることが多くなってきましたが、その原因として多いものはなんでしょうか。正確な統計はありませんが、性格の不一致、親の介護、長年の虐待や暴言などがあります。
上記のような不満因子に加えて、子供が独立して離婚に踏み切れるタイミングになったことも、熟年離婚を後押ししていると考えられます。
つまり、子供への負担や影響を最小限にしたい、という親心の現れかもしれません。
熟年離婚を考えていると親に相談されたらどうする?
親に熟年離婚を考えていると相談された時、誰しも少なからず動揺してしまうことでしょう。ですが、基本的に親の人生は親のものであるので、その気持ちを尊重してあげるべきです。
ただし、次のようなメリット・デメリットがあるので、それをよく考えて決断を下すよう伝えてあげましょう。
熟年離婚によるメリット
- 結婚生活におけるストレスから解放されて、残りの人生を自分らしく生きていける
熟年離婚によるデメリット
- 世帯収入(年金収入)が減り経済的に不安的になることがある
- 孤独を感じて残りの人生が寂しいものになる可能性がある
- 病気の時に看病してくれる人がいない
このようなデメリットを回避するため、離婚ではなく「卒婚」という形をとる夫婦も増えてきています。
卒婚とは、籍は抜かずに別居をしたりお互いに干渉せずに同居を続けたりすることです。
親に伝えたい熟年離婚による子供の負担
熟年離婚により、本人達のみならず子供にも影響が及びます。子供の立場からみた、親の熟年離婚による負担としては次のようなものがあります。
経済的に頼られる可能性がある
多くの人の定年退職後の収入源は年金です。
専業主婦や自営業の場合だと国民年金のみとなるため、自分の年金だけでは生活費を賄えない可能性があります。そのため、子供に経済的な援助を求めてくる可能性があります。
財産分与などの面倒な手続きに巻き込まれる
婚姻生活が長いと共通の財産などが多くなるため、その分与や慰謝料の調整がすんなりいかないことが多いです。
手続きを手伝ってほしいと頼られる可能性があります。
同居や介護の義務が生じる
熟年離婚をしてしまうと、病気になった時や介護が必要になった時に側にいて助けてくれる人がいなくなってしまいます。
そのため、同居をお願いされたり、介護をしなくてはならなくなったりする可能性があります。
このように、親の熟年離婚により、子供は主に金銭面と介護面での負担が増加することが懸念されます。ただし、親のためとはいえ自分を犠牲にしてまで無理をする必要はありません。
自分はここまでしかできないということをはっきりと伝えることが大事です。
まとめ
本記事のポイントをまとめます。
- 子供には親の扶養義務があるが、自分の生活を維持した上でできる範囲で良い
- 親が熟年離婚をする理由のひとつが「子供が独立した」から
- 熟年離婚にはメリットだけでなく大きなデメリットもあるが、残りの人生をどう過ごすかは親の意思を尊重すべき
- 熟年離婚に伴って子供の負担が増加する可能性があるが、どこまで協力できるかを伝えて無理をしないこと
日本では介護保険や生活保護法など、生活や介護を支援してくれるサービスがたくさんあります。
ひと昔のように、介護は全て家族間で行う時代ではありませんので、利用できるサービスは利用して負担に感じすぎないようにしましょう。