高齢者の事故のニュースを目にするたび、親の顔が浮かびませんか?
- そろそろ高齢になってきたので、運転するのをやめてほしい。
- もし、ニュースで見るような事故を親が起こしたら?
- 免許を返納したら、自分たちの手間が増えるけどどうしよう。
- お父さんは頑固だから返納なんて怒るにきまってる…
など、高齢者が運転することへの不安は尽きないですよね。
近くに住んでいても、毎回買い物や通院に付き合えるわけではないでしょうし、なにより本当に事故の加害者になってしまったら、自分たちもどうなってしまうのか、考えるだけでゾッとします。
ここでは
- 高齢者が運転するリスク
- 免許返納してもらうための説得のコツ、
- 実際に使える伝え方3選
- 車がなくても大丈夫なサービス3つ
について、お伝えしていきます。
親に運転をやめさせたい!高齢運転の危険性とリスクは?
警察庁が出している統計表によりますと、2020年の死亡事故件数2408件のうち75歳以上のドライバーが関与している事故が333件あります。
約1割強が高齢ドライバーが起こしている事故なのです。
これは死亡事故だけの件数です。
「コンビニに突っ込んだけど死者はいなかった」は含まれていません。
2017年から75歳以上のドライバーには、免許更新時に認知機能検査を行うことが義務付けられました。
ですが、3年間認知機能が保たれている保証はどこにもないのです。
高齢者が運転していて、事故を起こす1番の原因は「ブレーキとアクセルの踏み間違い」です。
高齢になると、記憶力、判断力、注意力が低下します。
さらに視力・聴力・筋力の低下、反射神経が鈍くなるなどの身体機能の低下が見られます。
運転中に心筋梗塞・脳卒中を発症して事故になるケースもニュースで聞きます。
認知機能に関しては、徐々に進行するため身近に医師や看護師、介護職員がいない限り、単なる物忘れとの区別はつきにくいでしょう。
「最近何かおかしい」と思う頃には認知症がかなり進んでいたということもあり得ます。
もちろん本人に自覚はありません。
認知症を発症していて、どこを走っているかわからなくなり、パニックに陥って事故につながったという事例も実際にあります。
ご本人は「まだまだ、大丈夫。」「車に乗らなかったら、生活できない」と思っていらっしゃるでしょう。
あくまでニュースは「人ごと、自分には関係ない」のです。
親に運転をやめさせたい!説得するコツは?
親に運転をやめてもらうためには、どうすればいいのでしょうか?
説得するためのコツを5つ紹介します。
1.金銭面(費用対効果)の話をする。
「男性は理屈でものを言い、女性は感情でものを言う」といわれます。
高齢の男性は車を所有する・運転することがステイタスでしたから、いくら息子(娘)から言われても、すんなりやめてくれないでしょう。
男性は感情に訴えるよりも、まずは論理的なところから話を進めるのがおすすめです。
2015年から13年以上経過するガソリン車の税金の割り増しが、10%から15%に上がっています。
普通車だと34,500円の税金額が、40,000円近くになってしまいます。
そのほか、ガソリン代、オイル交換代、任意保険代、車検代、場合によっては駐車場代も。
年間いくらかかっていますか?
年間走行距離と照らし合わせて、割に合っていますか?
そういう切り口で話してみましょう。
2.ニュースなどでみる事故例を交えて話をする。
高齢女性には効果抜群です。
高齢者が運転する重大事故はニュースで報道されています。
ご両親の友人や知り合いに、実際に事故の当事者になってしまった人はいませんか?
そういう方がいれば、実感もわくでしょう。
ニュースを見ながら、加害者・被害者・その家族の気持ちを話し合うと、実感がわきますよね。
もしお孫さんが「加害者の孫」や「被害者」になってしまったら…と話すと、運転をやめてくれますよ。
3.息子(娘)が同乗してドライブし、どこが危険なのか具体的な話をする。
自動車教習所にお願いして、教習を受けさせてもらう。
- 車間距離を一定に保つのが苦手になった
- 車庫入れに時間がかかるようになった
- 運転中にミラーをあまり見なくなった
- ウインカーを出し忘れることがある
- 駐車場の枠に合わせて車を停められない
こういうことを感じたら、免許返納を考える時期です。
他にも「スーパーなどの駐車場で自分の車を停めた位置がわからなくなることがある」「右折時に対向車の速度と距離の感覚がつかみにくくなった」など、自覚症状があるかも会話の中で聞いておきましょう。
参考:運転時認知障害早期発見チェックリスト30(NPO法人 高齢者安全運転支援研究会)

というのがあります。
自分の運転に不安がある方向けですので、進んでチェックを受けてくれるといいですが、受けてくれない場合は、この中から何個かピックアップして、さりげなく会話の中で確認してみるのがいいでしょう。
自動車学校にも、色々な教習を1時間単位で行っているところがあります。
プロの目で見てもらうのも家族トラブル回避になります。
筆者の友人はこの方法で、お父さんの免許返納に成功しました。
4.主治医から言ってもらう
高齢者になれば一つや二つ持病があるでしょう。
定期的に通院しているなら主治医の事を信頼しているはず。
息子や娘の言うことは聞いてくれなくても、主治医の意見は聞いてくれますよ。
受診時に主治医から運転の危険性を話してもらえるように根回しするのもおすすめです。
5.車がなくても生活できることを説明する。
ここ数年、高齢者の運転による死亡事故などが問題視されており、自治体も返納に対していろいろな施策を提案しています。
返納者にはタクシーチケットや、電車・バスの割引券を配布したり、自治体が民間のバスがいかないような地域にも、コミュニティバスを出しているところもあります。
コロナ禍で、ネットスーパーや宅配サービスもさらに充実してきて、車のない生活は十分可能になってきています。
筆者の母親は原付に乗っていましたが、自主的に免許返納したあと、週1回コミュニティバスを申し込んでおり、利用することで新たな顔なじみができたり、安否確認の意味にもなって、不都合や不便はないと言っています。
大きなものや重いものを買う時だけ息子に頼っています。
親も納得!説得する伝え方 例文3選!
具体的にどう説得するか悩んでいる方に、具体的な伝え方を3つお伝えします。
1.お父さんを説得する伝え方:費用対効果で説得する場合
最近運転はどう?
車に乗る回数が減ってるみたいだけど、年齢的にもそろそろ運転やめようか?
お父さんにとって、車に乗ることが楽しみの一つだってわかってるけど、この車も古くなってきたしね。最近事故のニュース見るたびに、ヒヤッとするんだ。
ガソリンの値段も高くなってきてるし、週1~2回乗るんだったら1か月で○○円くらいかな。オイル交換が年2回で1万円弱くらい?任意保険料が〇円、車検代が○○円くらい。税金が○○円で、駐車場代が月〇〇円。
車は古くなってくると、車検するにも部品を取り寄せるのに時間がかかったり、13年を超えたら税金は割り増しで高くなるんだよ。
年間に○○円くらいかかって維持するくらいなら、タクシー代のほうが安くなるんじゃないかな?免許返納したら、電車やバスの割引があるし、自分もできるだけ都合を合わせるから、次の車検はせずに免許返納してくれないかな?
浮いたお金でお母さんと旅行もできるよ。
話しをする前に、お母さんからガソリン代など具体的な金額を聞いておきましょう。
よく行くスーパーや病院などに、タクシーで往復する場合の値段も調べておくと、具体的に比較できるので、より説得しやすくなります。
筆者の知人のお父さんはこの方法で、免許返納しました。
プライドを傷つけないように、冷静に話しましょう。
2.お母さんを説得する伝え方:感情に訴える
お母さん、この間のニュース見た?
お母さんと同じ年の人が事故ってたの。駐車場で、アクセルとブレーキ踏み間違えたんだって。被害者の人まだ〇歳だったって。
最近多いよね。こういうニュース見ると、もし運転してたのがお母さんだったらって思うだけで、ドキドキするよ。
それに被害者がうちの子供と年が近かったら、家族の悲しみもわかるしね。
お母さんもそろそろ運転やめたら?
この辺だったらバスもあるし、タクシーだったら、家の前まで来てくれるし。
最近は食料品だって配達してもらえるのよ。私もできる限り来るようにするし。
もしも、お母さんが事故を起こして、相手が死んじゃったら、私たちも今のところには住めなくなるし、子供たちがいじめにあうかもしれない。
だから、お願い。徐々にでいいから、運転の回数を減らして、次の車検はせずに免許返そう。
お母さんには、事故を起こした時の感情を想像してもらうと効果的です。
自分だけでなく息子や娘、孫たちにまで迷惑をかけることになることを、話しましょう。
孫にもひとこと言ってもらうとより効果的です。
3.車がなくても生活ができることを説明する場合
最近高齢者の事故のニュース見てて、お父さんたちもそろそろ運転やめたほうがいいのかなって思うんだけど、どう考えてる?
免許返納したら、タクシーチケット〇万円分もらえるんだって。役所で手続きしたら、電車やバスの割引もあるらしいよ。
それに、このあたりだと、〇〇スーパーと、××スーパーは電話とかネットで頼めばほしいものを持ってきてくれるって。コロナのこともあって、宅配が充実してきてるから、わざわざ買い物に行かなくてもいいんだよ。
私も通院とか買い物とか、できるだけ来るようにするから、ちゃんと考えていこう。
話しをする前の準備として、住んでいる自治体の制度、近くのスーパーや宅配業者のリサーチをしておきましょう。
そうすると、かなり具体的な話しができます。
親が怒ってしまった場合はどうする?
免許を返納することは、生活の足を奪うことになります。
高齢男性にとって、車の所持や運転はステイタスでもあります。
無事故無違反を続けているなら、安全運転をしているというプライドもあるでしょう。
話しをして怒らせてしまうことがあるかもしれません。
「もう歳なんだから」と頭ごなしに話しをしませんでしたか?
怒らせてしまったのなら、いったん時間を置きましょう。
お互い冷静になれば、また話しを再開できるかもしれません。
息子さん、娘さん、お孫さんと人を変えて話をするのも一つの手です。
説得するのではなく、納得してもらいましょう。
「あなたのために」を前面に押し出すのではなく、「私が」心配だからやめてほしいと言うことで、お仕着せがましくないようにします。
免許の返納をする前に車がなくても困らないように準備をしよう!
車がなくても生活ができるように、自宅周辺にどんなサービスがあるのか調べましょう。
代表的なサービスを3つ紹介します。
1.ネットスーパー
代表的なものに、イオンネットスーパー、イズミヤ楽天マーケット、ヨーカドーネットスーパー、ダイエーネットスーパー、amazonフレッシュ、などがあります。
それぞれのお店のポイントがたまったり、3,000円以上の注文で送料が無料になったりします。
生鮮食品はお店で選ぶのと遜色ない鮮度のいいものが届きます。
日時指定もできるところがほとんどです。
サイトも見やすく、食料品以外もあるので見ているだけで楽しくなりますよ。
2.宅配サービス
Uber eats、出前館などの宅配員をよく見かけますよね。
お店独自で宅配されているところもたくさんあります。
色々なお店のメニューが選べ、配達までの時間がわかり、手数料もお安いです。
セブンミール、オイシックス(oisix)、生協、ヨシケイなど食材を宅配しているところもあります。
カット済みの食材や、ミールキットのようなレシピがついているもの、冷凍や真空パックで届くものなど多種多様です。
3.タクシー
自治体によっては、タクシーチケット〇万円分もらえる、町内はどこでも1回○○円で利用できるという特典があります。
また、サポートタクシーというサービスをしているところもあります。
乗務員さんが、介護の資格・経験を持っていて、通院や買い物の付き添いをしてくれます。
足腰が弱くなって乗り降りしにくい、車いすを使用しているなど、乗り降りも介助してくれるので助かります。
免許の返納方法
免許返納はどういう手続きが必要なのでしょうか?
手続きをする場所
最寄りの免許センターか、居住地を管轄している警察署。
必要なもの
基本的には運転免許証だけ。地域によっては印鑑が必要なところもある。
運転経歴証明書を交付してもらいましょう
メリット
- 身分証明書として使える
- 自治体の様々なサービスを受けるのに必要
- 「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」加盟店や美術館、タクシーなどの特典が受けられる。
必要なもの
- 写真(6か月以内に撮影したもの、3×2.4㎝)
- 交付手数料1100円
*返納日と違う日に申請する場合は住民票、健康保険証などの住所、氏名、生年月日が確認できる書類が必要となります。
警察署で交付申請すると時間がかかることがあるので、即日交付を希望なら、運転免許センターで申請しましょう。
車の自動運転の精度は?
自動運転のための技術はレベル0~5に区分され、現在実用化されているのはレベル2までの「運転支援車」で、まだ「自動運転車」ではありませんでした。
テレビCMでみる木村拓哉さんが運転している日産スカイラインもレベル2です。
オートクルーズ(速度を設定して、アクセルから足を離せる)、車線維持、前走車に追随して走行するなどの機能がついています。
レベル3「条件付き自動運転車」が2021年3月5日にホンダレジェンドが発売されました。
ですが、さまざまな条件があるようです。
まず、法律で「高速道路上で交通渋滞により時速60㎞以下での走行」でしか使えません。
ホンダは安全性を考えてより厳しく時速30㎞以下でないと機能しません。
自動運転中は手も足も離して、目もよそ見をしていても大丈夫です。
ですが、時速50㎞以上になると、強制解除されてしまいます。
完全自動運転化に向けて、さまざまな企業が、高性能3DマップやAI、制御装置を開発しています。
研究は進んでいて、テストコースや公道での実証実験も行われており、より高度な完全自動運転車も近いうちに見られるかもしれませんね。
まとめ
- 高齢運転の危険性
- 事故を起こす1番の原因は「アクセルとブレーキの踏み間違い」
- 高齢になると、記憶力、判断力、注意力が低下する
- さらに視力・聴力・筋力の低下、反射神経が鈍くなるなどの身体機能の低下が見らる
- 「まだまだ大丈夫」「人ごと、自分には関係ない」と過信している
- 免許返納を説得するコツ
- 金銭面(費用対効果)の話をする→男性に効果的
- ニュースなどでみる事故例を交えて話をする→女性に効果的
- 息子(娘)が同乗してドライブし、どこが危険なのか具体的な話をする。
- 主治医から言ってもらう
- 車がなくても生活できることを説明する。
- 親が怒ってしまったら?
- 頭ごなしに言わなかったか?冷静になるまで時間を空ける
- 息子・娘・孫と人を変えて話してみる
- 「お父さん(お母さん)のために」言うのではなく、「自分が」心配だからと伝える。
- 車がなくても生活できるサービス
- ネットスーパー、宅配サービス、タクシー(サポートタクシー)
高齢者が運転の事故はよくニュースで目にします。
「アクセルとブレーキを踏み間違えてコンビニに突っ込んだ」とか「歩道に突っ込んだ」など、死亡事故になっていることも多くあります。
「うちの親はまだ大丈夫」ではなく「明日は我が身」と思いましょう。
もし親が死亡事故を起こしたら、あなたの生活も一変するのです。
筆者の家は父は早くに亡くなったので免許返納はありませんが、母親は原付免許を70歳で返納しました。
山間部の農村地域でも、自治体の色々なサービスを使いながら生活できています。
年々、高齢者施策として、さまざまなサービスが新たに提供されているので、車に乗らなくても十分生活はできます。
お住まいの地域で自治体がどのようなサービスをしているのか、ネットスーパーなどは使えるのか調べて活用してみてください。
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