毒親…私にとっては、ここ数年でよく耳にするようになった言葉です。
同時に母娘問題も多く語られるようになった印象があって、毒親も母娘間の問題のような気がしていました。
毒親育ちは女性特有の問題ではないはず。
そこで、毒親育ちの男性の特徴や、対処法、毒親との絶縁方法について調べました。
人生の一大イベント、結婚の際の毒親との関わり方についても触れています。
毒親育ちであるために周囲との軋轢に悩んでいる男性、また、結婚というタイミングで彼女に毒親の存在を伝えるべきかどうか悩んでいる男性にお役に立てる内容となっています。
そもそも「毒親」ってどんな人?定義は?
毒親とは、アメリカのグループ・セラピストであるスーザン・フォワードの著書「毒になる親 一生苦しむ子供」から生まれた言葉で「子どもにとって害悪を及ぼす親」を意味します。
具体的には、下記のような行動パターンが毒親に当てはまります。
- 自分の価値観を押しつける
- 子育てを放置して子どもに関心を持たない
- 過干渉・過保護によって自主性を奪う
- 暴言などで子どもを否定する
- 体罰と称した肉体的暴力や性的暴力をふるう
ひとことで言うなら、子どもをひとりの人格として扱わない・理解できない親と言えるでしょう。
女性は、周囲に自分の悩みや愚痴を話す・聞いてもらう、友人の悩みを聞くということが、わりと日常的にあります。
それに引き換え、男性の場合は特に家族の問題について周囲に話す、ということを躊躇する傾向があるため、毒親育ちの男性の存在が見えにくくなっていたようです。
では、毒親育ちの男性に特徴はあるのでしょうか。
毒親育ち男性の特徴は?
親育ちの男性によくある傾向として次の6つがあります。
①自分に自信が持てない
親から否定されたり、親の意見に従わされたりしたことが影響しています。
「自分がダメ人間だから否定されるんだ」と感じているため、自分の意見を言うことや、自分の考えに従って行動することに自信が持てない傾向があります。
②他人の評価や世間体が気になる
親から否定されて育つと、自己評価が低くなってしまうため、他人からの評価を気にしてしまいがちです。
また、「テストでいい点を取ったら褒められた」「運動会で1位になったら褒められた」と親から条件つきで愛されてきたことも影響しています。
③他人への不信感
親に否定され傷つけられてきた影響で、他人を警戒し、疑いやすい特徴があります。
④他人との距離感がわからない
3でも述べたように、他人を警戒して自ら壁をつくってしまいがちです。
反対に、過保護な親に育てられた場合は、自分で判断する機会を奪われてきたために、他人に依存する傾向が見られます。
⑤甘え方がわからない
条件付きで愛されてきた場合は認められるために必要以上にがんばってしまったり、否定されたり放置される環境だった場合は、そもそも親に甘えさせてもらえないまま成長してしまいます。
男性の場合、「自分に厳しい人」だとポジティブな評価になりがちですが、本人としては甘え方がわからないだけということがあります。
⑥自分の非を認めない
これは、親が自分の非を認めなかったことに起因しています。
親を手本にしてしまい、自分の非を認めないということが起こりがちです。
親が自分の非を認めず逆ギレし、虐待を受けていたという人もいます。
ひいては、自分も周囲に逆ギレ・八つ当たりをしてしまうという負の連鎖が生まれる傾向もあります。
毒親育ちの自分は他人に迷惑をかけている?
「毒親育ち=周囲に迷惑をかけている」わけではありません。
むしろ、自分自身に自信が持てず思い悩むというような内向性が多く見てとれると私は思います。
ただ、先述した特徴のうち「⑥自分の非を認めない」で述べたような、自分を守る意識が強いあまりに周囲に当たってしまうというケースは、残念ながら迷惑をかけているといえるのではないでしょうか。
職場や友人関係でも起こりえますし、自分が結婚をして家庭を築いた場合、家庭内でのモラハラ・DVにつながる可能性もあります。
でも安心してください!
自分が毒親育ちで人を傷つけてしまう可能性があると気がついたなら、対処法はあります。
毒親に育てられた自分が相手を人知れず傷つけない方法は?
対処法として、アンガーマネジメントをご紹介します。
人間の思考では、まず感情が最初に起こり、その後に理性がコントロールをするという仕組みになっています。
この理性が働くまでの6秒間をコントロールして、衝動的な怒りによる突発的な行動を抑えるのがアンガーマネジメントです。
この動画では8つの方法が紹介されていますが、私のおすすめは「6秒カウントバック」です。
衝動的な怒りを感じた瞬間に「6・5・4・3・2・1」と6秒数える、という単純で誰にでもできる方法です。
ぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね。
毒親に育てられた男性は彼女・結婚相手を親に紹介する?
結婚を考えた場合、「相手を親に紹介する」という段取りは通常は避けられないと考えます。
まずは、彼女に自分が毒親育ちであることを打ち明けてみましょう。
彼女があなたの状況や考えを理解し、あなたの親とは関係を持たないと判断してくれるなら、親への紹介も不要でしょう。
ただ、彼女の親への説明は必要になってきますので、彼女も交えた話し合いが必要になると思います。
ここで1つ、私の経験をお話しします。
私の親は毒親ではありません。
ですが、特に父親は、周囲の状況や意見を考えることなく、あくまでも善意として自分の意見を押し付けてくるところがありました。
私には到底受け入れられない部分だったのです。
夫には、私が父親に対してどう思っているか話してはいましたが、理解はしてもらえないと思っていましたし、実際、私が反抗期を長引かせているだけだと思われていました。
結婚前、両家の顔合わせで夫家族が私の実家を訪れたときのこと。
父親の嫌な部分が皆の眼前で出てしまいました。
夫の両親も同席している、私としては一番出してほしくなかった場面でした。
夫家族が帰宅したのち、夫へ電話をして、不快な思いをさせたことを謝罪しました。
夫は「言ってた意味がわかったよ。こちらが理解するのはちょっとむずかしい人なんだね」。
そう言ってくれました。
結婚後は、実家が物理的に遠方となったこともあり、少し距離を置いて接することができました。それも夫の理解があったからこそです。
結婚相手はその後何十年と一緒に過ごしていく人です。
信じて話してみてはいかがでしょうか。
毒親は改心するの?
結論からいうと、改心することもあります。
思いの丈をぶつけたところ、親から謝罪があった、親の態度が変わった、そういう事例はありますが、あくまでもレアなケースだと思ったほうがよさそうです。
ですが、何もしなければ変わることはありません。
あなたがどう感じてきたか、どうしてほしいか、思い切って親に全部伝えてしまうのもひとつではないでしょうか。
それで親の改心が見られればラッキー。
改心どころか悪化するようであれば、もうあなたが毒親につきあう必要はないでしょう。
あなたにはあなた自身を守る権利があります。
毒親との絶縁を考えましょう。
毒親と絶縁・決別するには?
まず前提として、親と絶縁する法的な方法は残念ながらありません。
親とは双方に扶養義務が発生しますし、親が亡くなれば、あなたに相続権が発生します。
権利義務関係は法的に存続することに変わりはありませんが、以下の方法で事実上の絶縁状態をつくることが可能です。
①絶縁状を送る
「金輪際、関わりを持たない」という意思の表明です。
絶縁状自体に法的効力はありませんが、親にあなたの意思を伝えることによって、親の改心や親側から疎遠になるケースも考えられます。
また、次以降のステップで物理的に連絡が取れない環境をつくったときに親がその理由を理解できます。
絶縁状に決まった形式はありません。あなたが絶縁状を送るに至った経緯や気持ちを綴っても構いませんが、内容によっては脅迫罪に当たると判断される場合もあるため、シンプルなものが無難です。
親に「届いていない」と言わせたくない場合は内容証明郵便が有効です。
内容証明郵便とはいつ、どんな内容の文書を誰から誰あてに送ったかを日本郵便が証明してくれます。
内容証明には差出人の住所・氏名の記載が必要となるため、すでに転居してしまっている場合は躊躇しますよね。
行政書士や弁護士に作成を依頼すると、差出人が行政書士・弁護士となりますので、あなたの自宅住所を知られずに済みます。
一般的には、行政書士に依頼するほうが費用を安く抑えられますが、さまざまですので事前の比較検討がおすすめです。
②電話番号・メルアドを変更
絶縁状態の構築に向けて、まずは連絡が取れない環境を整えましょう。
親戚などから親にばれる可能性があるなら、親戚との関係が切れることも覚悟が必要です。
③戸籍の分籍(未婚の成人の場合)
分籍とは、親の戸籍からあなたの分の戸籍を除籍し、あなたを筆頭者とする戸籍を新たにつくる作業です。
後述しますが、親に住所を知られないための手続きの前段と思ってください。
すでに結婚しているなら親の戸籍からは除籍されていますので、このステップは不要です。
これから結婚するということなら、婚姻届を提出すれば、同じ効力が得られます。
このとき本籍地は、転居先とはまったく関連のない住所地にすることが、親から転居先を知られないためには重要です。
なぜなら、分籍や除籍をしていても、親は子の戸籍の閲覧ができるからです。
ちなみに、本籍地は日本全国どこでも、自分の好きなところに設定することが可能です。
④転居
引っ越しにあたっては、親に転居先を知られないために、細心の注意をはらうことが大切です。
親戚や友人であっても、転居先を簡単に知らせるべきではありません。
これまで親と同居していた場合は、家を出ることになりますが、その際に忘れてはいけないのが以下2点です。
失踪宣言書
「探さないでください」という置き手紙ですね。
書式に決まりはありませんので、直筆で明記し、日付と氏名を記入のうえ、家族が見つけやすい場所に置いておきましょう。
捜索願不受理届
警察へ届け出る必要があります。
これにより、親が捜索願を届け出たとしても、警察に捜索願の受理を拒否させることができます。
⑤転居先で住民票と戸籍の附票に閲覧制限をかける
引っ越したらすぐに住民票と戸籍の附票に閲覧制限をかけましょう。
戸籍の附票とは聞き慣れない人もいるかもしれませんが、戸籍とセットで管理されているもので、住所が記載されています。
ここで住民票と戸籍の附票に閲覧制限をかけても、親は子の戸籍の閲覧が可能です。
そのため、新しい住所地を連想できない、まったく無関係な住所地を本籍地とすることが重要となるわけです。
閲覧制限の申請には、警察等で事前に調書を書いてもらう必要があります。
詳しくは転居先の自治体でご確認ください。
上記5つのステップで毒親との事実上の絶縁状態が完成します。
もしあなたが結婚を考えていて、毒親と関わらずに結婚をしたいという場合も上記5つのポイントを参考にしてください。
結婚式・披露宴を執り行わなくても結婚はできますし、結婚相手やその親御さんの了承を得られれば、あなたの親・親族抜きで式・披露宴を行うことも可能です。
どうか、よく話し合ってみてください。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめてみます。
- 毒親とは子どもをひとりの人間として理解できない親のこと
- 毒親育ちの男性の特徴6つ
- 「自信が持てない」
- 「他人の評価が気になる」
- 「他人への不信」
- 「他人との距離感がわからない」
- 「甘え方がわからない」
- 「自分の非を認めない」
- 毒親育ちが周囲を傷つけないためにはアンガーマネジメントが有効
- 結婚相手には毒親育ちであることを打ち明けてみよう
- 毒親の改心が望めなければ絶縁を
子は親を選べません。
毒親を持ったことで、想像を絶するような苦痛や苦労を味わってきたことでしょう。
あなたが感じてきた生きづらさはあなたのせいではありません。
まずは、自分が毒親育ちであることに向き合いませんか。
それができたなら「毒親育ちだから仕方がない」と立ち止まるのではなく、少しでも前に進んでいただけたらうれしいです。
あなたにはあなたの人生を生きる権利も自由もあって、それはずっとあなたの手の中にあるのですから。