日本には、親に対することわざがいくつかあります。「親孝行、したいときには親はなし」「親孝行と火の用心は灰にならぬ前」「大考は終身父母を慕う」などです。
親がある日突然なくなっても後悔のないように、元気なうちに親孝行しておきましょうという意味です。
ここ数年は本やコミックなどの影響もあり、毒親という言葉が流行っています。
世の中の現象はわかりやすい言葉にされると、とっつきやすくなるのです。
「アダルトチルドレン」などもそうですが、「毒親」とくくられたことで、実は自分も思い当たる節があると、よくぞ言ってくれたと心が楽になった方もいるのではないでしょうか。
一方で自分がその毒親になってしまっていたら?と考えると不安になってくるのも事実ですよね。
毒親とは?
ウィキペディアによると、毒親(英:toxic parents)とは、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子供が厄介と感じるような親を指す俗的概念です。
1989年にスーザン・フォワードが作った言葉です。毒親という言葉が使われ出してからは10年ちょっとですね。
本や雑誌やSNSにとりあげられたのをきっかけにブームになっていったと思われます。
著者はイギリスの方ですが、海外でも毒親と言われる人はいます。
日本よりももっと過酷です。
海外では毒親のことを「機能不全家族」と呼ばれています。
「モラルハラスメント親」「モラハラ親」とも呼んでいます。
昨今、ハラスメント系の言葉が流行っていますが、海外から入ってきた言葉です。
自己主張がはっきりしている国の特長ともいえますね。
海外では教養のない親、貧困であることなどが毒親になる要素だと言われていたりもしますが、そればかりが原因ではありません。
そもそも結婚したり親になるのには試験はありません。
一般論でいえば、いわば誰でも結婚できますし、子供を産むことができるのです。
よかれと思ってしてきた子育てが、間違っていたら不安にもなりますよね。
自分も毒親に育てられたと思っている人にとっては無限ループが続いていくような感じを受けるかもしれません。
そこで、自分は毒親になっていないか、チェックリストを作りましたので、何項目あてはまるか、チェックしてみましょう。
あなたは毒親なのかも!チェックリストで診断!
まずは毒親の特徴についてあげていきましょう。思い当たる節はありますか?
過干渉な親
子供の意見を聞かず、自分の主張が正しいと信じています。
進路についても子供の意見を聞かず、どのような人生を歩んでほしいか押しつけます。
子供をほめることがなく、問題点などを指摘します。
過保護な親
完璧主義者のため、子供が失敗する前に口を出してしまいます。
気が利きすぎるのか、「忘れ物はない?」「おなかがすいてるんじゃないの?」など、先回りして声をかけてしまいます。
何でも合理的に終わらせたいと思うのか、子供に対してあれこれ指示を出します。
子供が考えるスキを与えません。
子供を否定してしまう親
ヒステリックなダメ出しや説教を繰り返します。
子供が何かしようとすると、話を聞こうとせずに、「どうせうまくいかない」「世の中は甘くない」など、否定から入るのが特徴です。
子供を放置する親
我が子に感心が持てない親のことです。
親自身が忙しくて子供にかまってられない、自分に都合よくいきるためには他人に迷惑をかけてもかまわない等、偏った考え方の毒親です。
最近では「放置子」(ネット上の俗称で心理学用語ではありません)という言葉もあります。
暴力をふるう親
親といえど一人の人間なので、かっとなり暴力をふるってしまう場合もあるでしょう。
毒親はそれが日常茶飯事なのです。
気に入らないことがあるとすぐ手を出す、お酒が入ると人が変わった様になってしまう、自分より弱い者に手をあげる、とにもかくにも手が付けられません。
暴力をふるっている方は何とも思わないのでしょうが、ふるわれる方は抵抗もできず悩んでいる場合が多いのです。
子供に愚痴を聞かせる親
この世はストレスだらけです。
でもそのストレスのはけ口を子供にしている毒親になっていないでしょうか。
子供は大人の愚痴を自分で受けとめることが出来ないので、鵜呑みにしてしまうのです。
子供は反論しないで聞いてくれるので、つい余計なことまで話してしまうことにもなりかねません。
ネガティブなことを子供にしょっちゅう言っていないか、考えてみましょう。
子供に嫉妬する親
白雪姫を殺そうとした継母(この話は実話で実母だったという説もあります)が、娘の奇麗さに嫉妬したからに他なりません。
白雪姫は素敵な王子様と出会い幸せになりますが、現実はもっと過酷です。
子供が良かれと思ってやっていることに、逐一いちゃもんをつけたりしていないでしょうか。
極端な言動をする親
自分が素晴らしい親だと信じて疑わない自己陶酔型です。
自分が信じているものが常に正しいのです。
極端に言うと自分の言動は神から啓示を受けたものなので、現実をみつめることはできないのです。
子供を認めることができないので、結果的に子供は親の餌食になってしまいます。
世間体を気にする親
自分に自信がないため、人生経験に基づいた子育てをせずに、マニュアル通りの子育てをしてしまいます。
子供と向き合おうとせず、自分は他人にどう思われているのかが常に気になっています。
では、次のチェックリストであなたがいくつ当てはまるかを確認してみましょう。
▢子供を自分の思い通りにしようとする
▢無視したり放置したりすることがある
▢厳しい言葉を言ってしまったり手が出てしまう
▢子供のことを何でも自分がやってしまう
▢子供に対して愛情が持てない
▢家庭内にイジメや暴力がある
▢子供を褒めない
▢子供より自分の方が偉い
▢子供の存在が疎ましい
▢不安が強くいつもびくびくしている
いかがでしたでしょうか?5つ以上チェックがついたら、毒親の可能性が高いかもしれません。
でも、自分が毒親になってしまっているかもしれないと思えるのはあたなの意識が高いからです。
本当の毒親は悩むことさえしないものです。
では、自分が毒親かもしれないと気づいたら、今後どのように子供と接していけばいいのでしょうか。
次の項目で、その対処法について深堀りしていきます。
毒親の可能性が高い人の対処法とは?
今までの子育てで自分が毒親であると気づいてしまった場合、いったいどのように対処していけばいいのでしょうか?
幼少の頃は言うことを聞いて素直だったのに、年齢が上がってくるにつれてだんだんと言うことを聞かなくなってきます。
自分がもしかしたら間違った子育てをしているのではないか、子供との接し方に難があるのではないか。
自覚があるのは素晴らしいことです。
本物の毒親は、自分を客観視できない分、反省することもありません。
毒親は連鎖しますので、親も毒親に育てられたのかもしれませんね。
自分の親のようにはなりたくないと思っていてもどこかしら似てくるものです。
そこでご提案です。
子供の事を考える前にまずご自分の事を考えてみましょう。
現状生活に何か不満はないでしょうか。
自分が不安で仕方がないので、心の隙間を埋めるように子供にうるさくいっているかもしれないのです。
母親が幸せで楽しい生活を送っていれば、子供も楽しい生活を送るようになるのではないでしょうか。
育児放棄は論外ですが、料理、洗濯、掃除等、主婦(主夫)としての仕事をこなしていれば問題はありませんよ。
完璧を目指そうとせず、最低限のことをしっかりとこなしていれば大丈夫です。
子供は可愛くて、だけれど心配するのは当然の事です。
ですが、子供は一人の人間で母親の所有物ではないのです。
とは言ってもつい小言を言いたくなるものです。
そこをぐっと押さえ、子供を見守る姿勢を大事にしましょう。
母親はどっしりとかまえていればいいのです。
もしも自分も毒親に育てられていたんだと気づいてしまったら、毒親に育てられた人の特徴ってわかるものなのでしょうか?
気になりますよね。
毒親と自分の関係を探ってみましょう。
毒親に育てられた子供はどのような影響を受ける?
毒親に全否定されて育ってきた子供は、自己肯定感が低くなります。
そのため自分に自信がありません。
他人から意見を求められても、自分の言うことなど誰も聞いてくれないと、発言もしなくなります。
自分に自信がないため、すぐに他人と比べてしまいます。
比べるだけならいいのですが、勝てる箇所をみつけることができなくて、さらに落ち込んでしまうのです。
自分は自分なりの人生を歩んでいけばいいのですが、それができないのです。悲しいですね。
親に全く褒められないで育つと、自己評価も低くなってしまいます。
他人が褒めてくれたとしても、信じることができなくなってしまうのです。
また、暴力を振るわれて育つと、誰かに嫌われることを極端に恐れるようになります。
それゆえに、自分がなく、他人の意見に合わせてしまう傾向が見られるのです。
依存度が高くなるのも毒親に育てられた特徴といえます。
親からの愛情を受けていないため、他人からの愛情も信じられないのです。
「愛している」と言われても(普段からの言動をみていれば本当に愛してくれているのかわかるものなのですが)素直には信じることができなくなってしまうのです。つらいことですね。
他人からのお願い事なども断らないことが多いため、恋愛においても望まない関係になってしまうこともあります。
男性から頼りにされたり、好きでいてくれると勘違いをして、相手に嫌われまいと拒否することができなくなり、不倫関係になったり、どうしようもない男性を好きになったりしてしまう傾向があるようです。
毒親といってもパターンは様々あります。
自分がどの種類の毒親に育てられてしまったのか、分析してみると、傾向と対策ができるかもしれません。
時にはすべてと言う方もいらっしゃいますが、そんな毒親はさっさと離れるのが得策でしょう。
毒親に育てられてしまうと、軌道修正が難しくなるのは確かなようです。
早めに気づいて何らかの対処をしていかなくては、どんどん心が傷ついてしまいます。
自分自身の人生なのに、いつまでも毒親にふりまわされてしまうのはもったいないことです。
子供の将来にまで影響を及ぼしてしまうのが、毒親です。
考えると恐ろしいことですね。
毒親に育てられている子供の将来は?
「ニュースサイトしらべぇ」によりますと、次のような結果が出ています。
グラフの結果からもわかる通り、女性の方が毒親に育てられたと回答した人が多くなっています。
母親との関係を考えると同性の方が親密になりやすい分、過度に近づいてしまうのかもしれませんね。
毒親に育てられると、色々な弊害が出てくるのは事実です。
生きていくうえでマイナス要素ばかりになってしまいます。
社会にでると他人とのかかわりなしでは生きていけません。
ネット社会になり自分だけの世界でいいのではないかと考える方もいますが、顔が見えないからこそ義理と人情は大切にしていかなければなりません。
大人になると就職、結婚と岐路にたたされることが多くなります。
人生はどんな選択をするかによって、歩く道もかわってきます。
それを自分自身でつかみとっていくのがベストですが、毒親に育てられていると、親のいうことに逆らうことができなくなります。
自分にも自信がないので、心の底で思っていることも言いだせなくなってくるのです。
では毒親に育てられた子供はどうやって生きて行ったらいいのでしょうか?
共依存という言葉があります。
自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存していて、その人間関係に囚われている状態です。
愛情という名の支配=自己満足と言えます。
もし、自分と親が共依存の関係だった場合、離れるのはかなり困難を伴います。
何故なら、親のいうことが絶対という信念のもとに生きてきたので(洗脳されているといってもいいかもしれません)それを断ち切ることが難しいのです。
自分の信じる宗教などにはまってしまうとそこから抜け出すのに相当な苦労を伴うのと似ているかもしれません。
共依存の関係でなければ、離れてしまえば関係を断ち切るのにさほど困難は伴わないでしょう。
協力者でいる分にはいいのですが、子供に依存してはいけません。
毒親になって未来ある子供の将来をつぶさないようにしましょう。
毒親の将来は?
「やられたらやり返せ。倍返しだ!」という半沢直樹の決めゼリフがあります。
毒親の将来はまさにこれなのではないでしょうか。
望まない毒親に育てられて、性格を捻じ曲げられ、自分の将来にも不安が付きまとっている中、老後の面倒までみる筋合いはないでしょう。
「そうはいっても親の面倒はみないとならないでしょう」と反論される方もいらっしゃいますが、今まで相当ひどいことをされてきたのなら、毒親からは離れるべきでしょう。
毒親と一緒にいては将来はありません。
毒親はあなたに依存し続けるでしょう。
「親の面倒をみないなんてひどいではないか」「今まで苦労して子育てをしてきたのに裏切る気か」こんな言葉を浴びせるかもしれませんが、そこは心を鬼にしてでも、毒親との関係を断ち切った方が明るい未来はひらけてくるのです。
子供を支配していると、そのつけは必ず自分に帰ってくるのです。
自分がもし毒親だと気づいたら、考え直しましょう。
それは子供に自分の老後をみてもらうためではありません。
親は親、子供は子供、別々の人間なのです。
言動に気をつけましょう。暴力(言葉の暴力も)は何も生み出しません。
子供が生まれた時可愛くなかったですか?その瞬間は支配しようなどとは思わなかったはずです。
世界に同じような考え方の人はいても同じ人間は一人としていないのです。
産まれてきた我が子を一人の人間として認めましょう。
子供は決して思い通りにはならないのです。
毒親でいなければ、子供といい関係が築けるはずなのです。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめてみます。
毒親とは……?
影響を子供に及ぼす親、子供が厄介と感じるような親です。
「機能不全家族」などの呼び名もあるくらいです。
日本より海外の方が問題視されています。
- 過干渉な親
- 過保護な親
- 子供を否定してしまう親
- 子供を放置する親
- 暴力をふるう親
- 子供に愚痴を聞かせる親
- 子供に嫉妬する親
- 極端な言動をする親
- 世間体を気にする親
毒親タイプを9個あげました。
自分が毒親だと気づいてしまったら。
子供のことをとやかく言う前に自分の人生を見つめなおしてみましょう。原因はあなた自身にあるということに気づくのが一番です。
親も人間なので、知らず知らずのうちにストレスがたまっているのです。自分も親に同じような目にあってきて、子育てについて迷っている最中なのかもしれません。
そして、毒親に育てられると。
自分に自信がない大人になってしまったり、コンプレックスを人より余計にいだいたり、ネガティブな言動しかできない、親が決めてきたので、自分で何かを決定することができないなど、プラス要素はありません。