「ファザコン」というと、どんな印象をもちますか?
一般的に『ファーザーコンプレックス』というと、“お父さんが大好きで、お父さんから離れられない女性”あるいは“お父さんのような愛情を他の男性に求めてしまう女性”そんなイメージはありませんか?
実は、男性にもファザコンの人はいるのです。
男性のファザコンというのは、“父親を乗り越えたい”という気持ちや、“認められたい”、“愛されたい”という気持ちが複雑に入り組み、感情的な反応をしてしまう状態をいいます。
いずれにしても、子どもにとって《父親の存在》が大きすぎることが原因であると考えられます。
しかし、そうなってしまうのは、本人のせいではないのです。
子どもが後天的に身につける特性というのは、多くの場合「親との関係」が原因であり、本人には避けられないことが多いもの。
そうはいっても、もしも自分の夫がそうだったら?
お付き合いをしている段階ではわからなかったけれど、結婚してみたら「なんだか夫がファザコンっぽい...」
そんな不安を感じている方は、“結婚する前に知りたかった!なぜ気づけなかったのか”と思うかもしれませんが、結婚前は、そういう部分は上手に隠すものです(意識的、無意識にかかわらず)。
だから、気づかなくて当然。自分を責めてはいけません。そして、今からでも遅くはありません。きちんと見極めたうえで、明るい未来のために最善の努力をしていきましょう。
ここでは、ファザコンかもしれない夫の見極め方と、そうだったときの対処方法をご説明します。
ファザコン夫の特徴5選!
ファザコン夫の見極め方
結婚するまでは、他人であるあなたの前では隠していたかもしれない夫も、家族になってしまった今、遠慮なく素の自分を出すようになったのではないでしょうか?
そんな、素の夫の行動の中に、「ファザコン」をにおわす言動が隠れています。
次の5つの特徴に当てはまるようなら、もしかすると「ファザコン」要素が強いかもしれません。
- 劣等感が強い
- わがまま
- 自分で決められない
- 自分と父親を比べる
- 過度な父親思い
これがなぜ「ファザコン」の特徴なのかを次に説明します。
行動や言動の特徴
劣等感が強い
社会的地位が高い父親を持つ夫に多く現れる特徴です。男性は本能的に父親を超えたいと思うものですが、父親の地位が高く超えるのが難しいとなると、劣等感を持ちがちです。
わがまま
父親に甘やかされて育った夫に多く現れる特徴です。欲しいものはなんでも買い与えてもらい、やりたいことは何でもやらせてもらって育ってきたので、我慢が苦手です。
自分で決められない
親、とくに父親の言うことをよく聞いて育ってきた夫によくある特徴です。結婚式や新居を決めるとき、「おやじがこう言ったから...」などと、父親の意見に従いがちで自分で決めることができません。
自分と父親を比べる
強い父親、いわゆる亭主関白な家庭で育った夫に多い特徴です。自己主張が強い父親の元で育つと、父親の価値観を自分の価値観のように勘違いしてしまい、本能で親から離れようとしても逆に意識してしまい離れられません。
過度な父親思い
例えば両親が離婚し、父親が頑張って自分を育ててくれた...など、父親に対する尊敬の念や感謝の気持ちが強い場合。父親を大切にしたいという気持ちが極端に強くなると、周囲から見るとファザコンに見える場合があります。
ファザコン夫が気持ち悪く感じてしまう理由は?
“夫がファザコンかもしれない...”
それを「気持ち悪い」と感じてしまう理由はなんでしょう?
各パターンのファザコン夫の例から考えると、いずれの場合も「親離れできていない」ことが共通点であり、自分のパートナーが、大人の男性であるにもかかわらず
- 「親を意識しすぎている」
- 「親に甘えている」
- 「親に反発している」
と、そんなところが頼りなく、また子どもっぽく感じてしまうことが原因ではないでしょうか。
自分の生涯のパートナーには、精神面でも経済面でも、親から自立した一人の男性でいてほしいのは当然ですから、大人として“自分で決断してほしい”、“親を頼らないでほしい”という気持ちがわいてくるのはごく自然なこと。
夫がファザコンになった原因と理由は?
ファザコンは、生まれつき持っている特性ではなく、育った環境や親の接し方が大きく影響していると考えられます。
最も大きく影響を与えているのは父親と言って間違いはないでしょう。
では、具体的にどんな接し方が影響を与えるのかを説明します。
ファザコンにさせてしまう親の特徴、教育、しつけの特徴
自立させない
成長の段階で、自分で決めたり責任を持たせることをしなかった
→ 親離れできないタイプのファザコン
甘やかす
やりたいことや欲しいものは何でも与えてしまった
→ わがままで我慢ができないファザコン
過干渉
親が子どものためを思うあまり、行動を制限したり、親の思う方向に誘導した
→ 自分で決められないファザコン、大人になっても反抗的なファザコン
抑えつける(反抗させない)
思春期には自分と親が違う人間であると認識し、それが反抗という態度に現れ、やがて自立するが、その機会を与えなかった
→ 親の価値観で生きるファザコン、大人になっても反抗的なファザコン
父親が子育てに関わらない
父親が子育てに関わらないことで、子が愛情を受けずに(受けていないと思いながら)育った
→ 自分の妻や子どもとのかかわり方がわからないファザコン
子どもというのは、それまでは親の価値観をそのまま受け入れていたとしても、思春期になると突如「親と自分は違う」という意識を持つようになります。
それは、やがてくる「親離れ」への準備として正常な反応なのですが、親としては突然変わってしまった子どもを目の前にして狼狽します。
それまでは自分の分身のような存在だったかわいいわが子が反旗を翻すのですから、寂しさや、時には怒りもわいてくるかもしれません。
ですが、このタイミングで対応を誤ってしまい、しっかりと親離れの準備ができなかったことがファザコンを生む原因になっているのではないか?と思われる特徴が多いようです。
また、父親が極端に厳しいとか、極端に甘い、あるいはそのどちらでもなく無関心であることで、子どもは父親の愛情を感じることができないまま育ち、その欠落感を埋めるために父親に憧れたり、逆に反発したりすることもあるようです。
ファザコン夫の父親を思い浮かべて、「ああそうかもしれない」と思い当たることはありませんか?
彼らは無意識のうちにそういう子育てをしていたのかもしれません。
ファザコン・マザコンと、親思いは何が違う?
ファザコン・マザコンと「親思い」の違い
一見「ファザコン・マザコン」に見える人の中には、親に対する思いやりが強いだけ...という場合もあります。
例えば、父子家庭、母子家庭で育った子どもの場合、ひとりで自分を育ててくれた親に対する思いやりは、一般的な家庭よりも強くなることがあります。
その結果、親に対する「大切にしたい」という気持ちが他の人よりも強くなり、「ファザコン・マザコン」のように感じる場合があるようです。
しかしその場合は、本人が親になったら「自分を育ててくれた立派な親」を手本に、自らも立派な親になる可能性が高いようです。
「どんな親になるか?」
それが、親離れできていない、自立できていない「ファザコン・マザコン」との大きな違いといえそうです。
ファザコン夫のメリット・デメリット、今後の対処法は?
メリット
- 夫側の実家との付き合いなどはすべて夫に任せられる
- 夫の実家が裕福であれば、大きな買い物などの際援助を期待できる
- 父親を尊敬する優しいタイプの夫であれば、自分もよい父親になる可能性が高い
メリット、としましたが、1.と2.については、非常に危険をはらんでいると言えます。
夫の父親(実家)に世話になった分、見返りを求められる可能性は考えておいた方がよいでしょう。
デメリット
- わがままなタイプの夫であれば、感情のコントロールができず家族に被害が及ぶことがある
- 劣等感の強いタイプの夫であれば、自分に自信を持てず引きこもりやニートになる可能性がある
- 夫が父親(実家)を大切にするのと同等の態度やサービスを、妻にも求めてくる可能性がある
ファザコン夫にとって、「父親」よりも「妻や子ども」のランクが下である場合は、やはりデメリットの方が多いと考えられます。
今後のコミュニケーション方法
一度「この人はファザコンかも?」と思ってしまうと、夫のいろいろな言動がすべて「ファザコン」を示すように思えるかもしれません。そう思い始めたら、気づかなかった頃に戻るのは至難の業でしょう。
あとは、いかに感情的にならずに冷静に見ることが出来るか?がカギになります。
- 夫のファザコンがどのようなパターンにあてはまるのか?
- また、原因は何なのか?
冷静に観察し、分析してみる...というのは、今後の対処法を探るうえで非常に役立つ行動です。
単なる「お父さん好き」、「お父さんを大切に思っている」のと「ファザコン」は、はっきりとした境界線があるわけではありません。
自分や子どもの生活に悪影響がありそうなのかどうかを見極めることが重要になります。
ファザコン夫がどうしても受け入れられない!離婚理由になる?
ファザコンは離婚理由になるか?
夫のファザコンが離婚の理由になることは、当然ありえます。
直接の原因が「ファザコン」でないにしろ、結婚して自分の家族をもってからも「自分の実家および実家の家族」を優先する夫であれば、それが原因で離婚に至ることは十分にあり得る話しです。
自分が親元から離れて新しく所帯を持ったのであれば、最優先するべきは「妻」であり「子ども」であるはず。
家族を構成する妻や子どもにしてみれば、そうでなければおかしな話しです。
離婚できるとしたら慰謝料は?
離婚するとして、慰謝料はそれぞれの場合によるのではないでしょうか?
相手に支払い能力がない場合、あるいは支払いをしぶる場合などは、慰謝料のことでもめてなかなか離婚が成立せず、その期間は苦痛でしかないでしょう。
「自由」をとるか「お金」をとるか、究極の選択になる場合もあるかもしれません。
ファザコンをやめてもらうにはどうしたらいい?
ファザコンをやめられるかどうかは、本人の自覚次第です。
- 自分がファザコンであることを認められる人であるか?
- 認めたところで、それを「やめる」必要があると思える人であるか?
- そして、やめようと思ってやめられる人なのか?
この先、“自分と多くの時間を過ごすことになる妻や子どもを大切にしよう”と気持ちを切り替えられる人であれば、ファザコンから脱却できる可能性はあるでしょう。
まとめ
夫がファザコンで気持ち悪い!その原因と今後の対処法についてまとめます。
- ファザコン夫の特徴5選!
1.劣等感が強い
2.わがまま
3.自分で決められない
4.自分と父親を比べる
5.過度な父親思い。
いずれかに当てはまるなら「ファザコン」要素が強いかも?
- ファザコン夫が気持ち悪く感じてしまう理由は? 自分のパートナーが、大人の男性であるにもかかわらず「親を意識しすぎている」「親に甘えている」「親に反発している」と、いずれの場合も「親離れできていない」ところが頼りなく、また子どもっぽく感じてしまうことが最大の原因では?
- 夫がファザコンになった原因と理由は? 「自立させない」、「甘やかす」、「過干渉」、「抑えつける(反抗させない)」、「父親が子育てに関わらない」ことで、自然に親離れできず、また父親の愛情を感じることなく育ったこと。本人に原因があるわけではありません。
- ファザコン・マザコンと、親思いは何が違う? 一見すると同じように見える場合もあるが、「親思い」の場合は“自分が親になったら自らも立派な親をめざす”ことができるところ。「どんな親になるか?」に差が出ます。
- ファザコン夫のメリット・デメリット、今後の対処法は? メリットはあれど、その恩恵を受けてしまったら、それなりの見返りを求められる可能性があることは忘れてはいけません。対処法としては、今後のために、冷静に判断し、できれば記録を残して。何かの時に役立つ可能性あり。
- ファザコン夫がどうしても受け入れられない!離婚理由になる? ファザコンが離婚の原因になることは当然あります。ただし慰謝料を請求しようとすれば長引く可能性も。一刻も早く自由を手に入れたいと思ったら、あきらめることも肝心です。
現代は、“大人になりきれない大人”が多くなってきていると言われています。
親が「こうしてみたら?」、「ああしてみたら?」と、良かれと思ってアドバイスすることが、逆に子どもの自立の機会を奪い、最悪の場合、結婚後の家庭に悪影響を及ぼすことになるのです。
昔の人は素晴らしいことをいいました。
“可愛い子には旅をさせよ”
子どもは、自然にしていれば思春期になると親と自分の違いを認識し、親から離れていく準備をします。そして、ひとりの大人として、親と対等の立場になるのが、本来あるべき姿なのです。
そのタイミングで手を放してもらえなかった子どもは、大人になってから何らかの困りごとを抱える場合が少なくありません。
「夫のファザコン」は、その一例でしょう。
もしもあなたのパートナーが「ファザコン」だったとしたら...
パートナーが、結婚をチャンスに、それまでできなかった“親離れ”をしない限り、健全な未来は望めないかもしれません。しかし“親離れ”をするのはパートナー自身であり、元をただせばその親の役目だったはず。
あなたには、あれこれ腐心したり頑張ったりする義務はないのです。
パートナーが自分を変えて、これからもあなたと一緒にいたいと思うのであれば、その努力のお手伝いをしてあげましょう。でも、そうでない場合は、未来はなかなか厳しいものになるかもしれません。
いずれにしても、日々のパートナーの言動をしっかりとチェックし、記録しておくことはおすすめです。
あなたの未来が明るく希望に満ちていることを祈ります。