結婚を考えた時、双方の親への挨拶や両家顔合わせなど、親を含めた「家同士」の関わりの場は避けて通れないもののひとつです。もしも、自分の親が生活保護を受けていたら、相手や相手の親にどう伝えたらいいのでしょうか。
「結婚が破談になってしまったら…」「軽蔑されたらどうしよう」など不安はつきませんよね。
この記事では、そもそも生活保護とはどういうものか、と結婚相手とその両親に生活保護を受けている自分の親のことを打ち明けようとする場合の相手に伝えるときのポイントをご紹介します。
5分くらいで簡単に読める内容になっています。
親が生活保護を受けていて恥ずかしい!
生活保護は、「生活保護法」で定められている、日本国民に与えられた権利のひとつです。にも関わらず、生活保護を受給している人に対する差別や批判的な意見は多く、生活保護受給者は肩身の狭い思いをしていることが多いようです。
こういった世間の風潮から、受給者本人はもとより、その家族や親戚も生活保護の受給を「恥」と感じてしまうことがあります。ただし、あなた自身が「恥」に感じる必要はありません。親が生活保護を受けていようが、社会に出て結婚をしたいと思える人と出会えたあなた自身は、恥でもなんでもないのです。
親が生活保護を受けるようになった理由は?
そもそも、なぜ生活保護を受給するようになってしまったのでしょうか。
生活保護を受給するに至った理由としては様々ありますが、高齢・母子・障害者世帯で収入が低いことや、病気や怪我による収入の減少と支出の増加、事業不振・倒産などがあげられます。
特に、高齢や母子家庭、身体及び精神的な障害などの理由により働くことができなくなり、貯金が底をついて受給に至るケースが多いです。
わかっているようで知らない生活保護の実態は?
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。(厚生労働省)
生活保護を受給するための絶対条件は、世帯収入が最低生活費以下であることです。
最低生活費というのは、厚生労働大臣が定める基準をもとにして算出されるもので、住んでいる地域によって異なります。
また、その他の条件としては次のようなものがあります。
- 資産(10万円以上の現金、車、不動産、装飾品など)を持っていないこと
- 公的融資制度や公的扶助を利用できないこと
- 親族からの支援を受けられないこと
- 借金がないこと
ただし、これらの条件は例外があり、個々の状況に応じて支給される場合もあります。
生活保護でもらえる金額は、最低生活費から世帯収入を差し引いた額になります。ここでいう収入とは、給与の他に年金、児童扶養手当、親族による援助なども含みます。
再び働ける状態になったなどで収入が最低生活費を上回り、援助が不要となった場合は終了となります。収入があるにも関わらず受給していた場合や、ケースワーカーの指示に従わない場合などは、生活保護が打ち切りとなり、さらには不正に受給した額の返還を求められることもあります。
生活保護を受けると、基本的な生活は保障され、税金や公的保険料、医療費などの支払いが免除されます。ただし、次のような制限があります。
- 財産や贅沢品は所有できない
- ローンを組めない
- クレジットカードを作れない
- 家賃が住宅扶助の上限を超える場合は引越しが必要
生活保護を受けていることは、個人情報保護法により周囲にばらされることはありませんが、ケースワーカーが調査のために定期的に出入りしたり、保険証を持っていなかったりすることで、周囲に知られてしまう可能性はあります。
また、親族からの援助が受けられる場合には生活保護よりもそちらを優先されるので、生活保護を受給すると家族に「扶養照会」の連絡がいき、家族には知られてしまうことになります。ただし、絶縁状態にあったり、虐待を受けていたりする場合などには連絡はいきません。
両親が生活保護の場合、結婚相手や相手の両親には伝える?
親に対して扶養義務はありますが、これは必ず援助をしなければならないというものではありません。自分の生活を送る上で余裕があれば援助しましょう、というものであり、あくまで任意のものとなります。
そのため、結婚により世帯収入が上がったからといって扶養義務が生じるわけではなく、扶養照会はあくまで子であるあなただけで結婚相手にまでいくわけではありません。
しかし、結婚はしきたり的に「家同士」のつながりが増えるものです。そのため結婚前に結婚相手やその両親に伝えるべきでしょう。
働けるのに働く気がなく生活保護を受給している人や、不正に受給している人も中にはいるので、生活保護を恥だと考える人は多くいます。そのため、結婚破断になるリスクはゼロではありません。
伝える場合には、生活保護に至った経緯、自分が援助しない(できない)理由をしっかり話す必要があると思います。また、生活保護により最低限の生活は保障されているため、結婚後も金銭的な心配はないことも伝えると説得しやすいでしょう。
生活保護を受けている両親の老後のサポートは?
生活保護を受けていると、医療費や介護費は国からの補助によりまかなわれるため、老後も特に金銭的な負担はありません。
生活保護受給者でも入居できる高齢者施設もあります。
まとめ
以上、本記事をまとめます。
- 生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を送るためにある
- 生活保護に至る理由で多いのは、高齢、母子、障害などで十分な就労ができないから
- 結婚前に結婚相手や相手の両親に伝えるべき
- 結婚相手や相手の両親に伝えるときは、①親が生活保護に至った理由、②自分が援助できない理由、③結婚後も金銭的な援助をしなくても親の生活は保障されていることを伝える
とても勇気のいることとは思いますが、幸せな結婚生活のための大きな一歩です。
親が生活保護を受給しているからと言って、幸せになってはいけないきまりなどありません。ぜひとも勇気を出してその一歩を踏み出してくださいね。